ハーバード大学へ進学した若き日本人学生に迫る!【前編】

みなさんこんにちは、ポケット予備校です!

「ハーバード大学に進学した日本人」

そう聞いたら、みなさんはどんなイメージを持ちますか?

今回ポケット予備校は、アメリカ・ハーバード大学に合格し入学したひとりの日本人学生にインタビューをしました

少年期の活動、そして米国大学の入試を経て、世界最高峰の大学に合格するまでの道のりを語ってくれました

【柳津聡】2000年生まれ。現役で東大とハーバード大学、そのほか複数のアメリカ名門大学に合格。東大に数ヶ月在籍した後、ハーバード大学に進学。大学では相関社会科学を学習している。

〈聞き手・文=大塚(ポケット予備校 編集長)〉

アメリカの大学を目指したきっかけ

大塚:まず、受験前はどのような活動をしていたんですか?

柳津:僕は昔から国際政治や社会思想を議論するのが好きでした

というのも、もともとは戦車が好きで小学生の時は戦車の本を読むのが好きだったんですけど、近くに第二次世界大戦のコーナーとかがあって、そこからどんどん棚を巡っていって、国際政治とかにも興味が湧いてきました。

それで、中高の時は主にディベートや模擬国連とかをやって、そういう活動をしていくうちに、アメリカで国際政治と社会思想とかを学びたいなと考えるようになりました

大塚:具体的に海外の大学に進学したいなと思ったのはいつ頃ですか?

柳津:たぶん、高校の1年、2年の時に海外の大学に進学したいと思い始めました

そもそも僕は日本生まれ日本育ちなので、海外の大学で、それも短期とかではなくて4年間、学部課程を全て修めようという気は全くなかったんです。

けれど中学の2年、3年の時に、高校の先輩にアメリカの大学に4年間進学するっていう人が出た時に、「あ、こういう進路があるんだ」っていうことに初めて気付いて、それからは選択肢として心の片隅にありました。

それで、ディベートや模擬国連のような課外活動で海外の大会に行ったり、サマースクールに行ったりみたいな経験を通じて、実際に僕も現実的な選択肢として海外の大学を目指したいと思って受験の準備を始めたのは高校2年生くらいです。

大塚:となると、海外に住んでいたとか、海外の学校にいたとかっていう経験は・・・

柳津:ないですね。アメリカに行くまでは18年ずっと日本で暮らしていましたね。

大塚:そういう、ずっと日本にいたタイプの人は、海外留学組の中では珍しいですか?

柳津:海外留学にもいろいろあって、僕が知ってるのはハーバード大にいる日本人とか、似たような大学の日本人なんですけど、まあやっぱり、帰国子女が半分以上くらいかなとは思います。けど、僕みたいに、インターナショナルスクールじゃないような日本の高校から行く人は一定数います。

大塚:ちなみに柳津さんはどこの高校出身ですか?

柳津:僕は神戸の灘高校です。

多様性を重視するハーバード大学の入試

大塚:それでは、いよいよ入試について聞いていきたいと思います。ハーバード大学の入試は、具体的にどういう形で行われるんですか?

柳津:そうですね、日本の一般的な入試と一番違うのは、書類を出したらそれで終了なんですよね。どっちかっていうと日本のAO入試に近くて。それで、書類審査にはおもに6つの要素があります

  • 学校の成績
  • 学校の先生の推薦状
  • テストスコア
  • 課外活動歴
  • 受賞歴
  • エッセイ

です。これを大学に書類として出します。アドミッションオフィサーっていう担当の部署の人たちがそういう応募書類を全部読んで、総合的に大学に入れるか入れないか、っていう判断をします

場合によっては書類を提出した後に面接があることもあります

大塚:書類でかなり決まる、といった感じですね。

柳津:そうですね。いい面としては、一発勝負じゃないっていうところがあります。テスト自体も日本の共通テストと違って、何回も受けることができて、比重もそこまで大きくはないです。そういう点は日本と違うかなって思います。

大塚:課外活動歴とか受賞歴っていうのはどういうことを書きましたか?

柳津:僕は生徒会の活動だったりとか、ディベートや模擬国連とかの大会でのパフォーマンスや受賞歴を書きました

それと、自分の色になったかなって思うのは、もともと僕は外交問題に興味があったので、それに関して論文を書いて、雑誌というか論文集みたいなのにコンテストで選ばれて掲載された、っていうのを書きました

まあただ、100人中1位だから偉い、とかっていうような目的の項目っていうよりは、その人が何に興味があって、どういうふうに学校だったり地域だったりなどコミュニティで役割を発揮してきたか、みたいなことが見たくてそういう欄があるんだと思います

優秀な実績とともに優しい言葉も

大塚:じゃあ、輝かしいキラキラした経歴だけを求めているってわけではないと

柳津:そういうわけではないと思いますね。どっちかっていうと課外活動歴とかは、点数みたいな1つの指標じゃなくて、その人が生まれた状況とか生きてる環境を考慮に入れた上で合否の判断を下したいっていう目的だと思います

だから、例えばもともと課外活動の機会がない高校に行ってるんだったらそれも考慮しますし、家族の中の役割だったりとか、家庭の手伝いをしているみたいなのも実は活動欄に書いていいんです。

大塚:けっこうじゃあ、人によってそれぞれの課外活動があっていい、って感じなんですね。

柳津:そうですそうです。

大塚:そういう内容でもちゃんと合格できるということですね。

柳津:はい、します。

イェール大学、プリンストン大学も受験し、すべて合格

びっくりするほどの合格実績を軽々と述べる

大塚:入試の時は、ハーバード大学の他にも海外大学を受験しましたか?

柳津:はい、しました。制度的に、前期と後期みたいなものがあって、前期ではイェール大学というまた別の大学に出願しました。クリントン大統領が卒業した大学です。

後期というか後半のシーズンではハーバード大学の他にプリンストン大学にも出願しました。結局その3つ全てに合格して、その中からハーバード大学を選びました。

大塚:複数の大学に出願したのはどうしてですか?

柳津:アメリカの大学入試ではみんな何校も出願するっていうのがある程度セオリーになってるんです

なぜかというと、1つ1つの大学の合格率が低いんです、5%とかで。まあそれはみんながたくさんの大学に出願しているからってことでもあるんです。そういう状況があるから、1つの大学に絞るんじゃなくてたくさん出願する っていう感じです。

提出する書類とかは同じものが多いので、各大学で出されるテーマに合わせたエッセイ以外の書類は、他の大学への出願でもけっこう使えます

大塚:なるほど

柳津:そういう風にたくさん出願してある程度受かった中から自分のカラーに合うような大学を選ぶ、といった感じです。

大塚:柳津さんが合格した3校の中でハーバード大学を選んだ理由はどういうところですか?

柳津:実際にキャンパスに行ってそこの人と話したり雰囲気を見極めたりしました。

その上で、やっぱりボストンにあるハーバード大学が一番人の往来があって、大きな大学院も付いているのでそことの交流もあって。しかもケネディスクールという有名な大学院もあって、自分のやりたい国際政治に強いので、自分の勉強したいことをいちばん追求できるかなと考えてハーバードに決めました

大塚:なるほど、キャンパスは全ての大学に足を運びましたか?

柳津:そうですね、はい。

8万ドルの学費と奨学金の支援

大塚:ハーバード大学の学費は1年でどれくらいの額ですか?

柳津:そうですね、ハーバードに限らず僕が受けたような大学(イェール大学、プリンストン大学)はどれも年間8万ドル(およそ年間840万円 *1)くらいかかります

ただ、これはカラクリがあって、学生は奨学金を申請できるんですよね。僕も奨学金をもらって進学しています。50%くらいの学生は奨学金をもらっていますね。

大塚:なんらかの経済的な補助をもらいながら通っていると。

柳津:そうです。それは学校からだったり、もしくは外部の財団からだったり。僕の場合は外部の財団から学費をもらって通っています。

大塚:柳津さんの場合はどれくらいを負担してもらっていますか?

柳津:学費は全額支援してもらっています。大学としても申請の時に家庭の年収をちゃんと見てくれていて、何万ドル以下だったら学費は免除する、みたいな目安もあります。

アメリカの全ての大学がそういう優しい対応をしてくれるわけではないんですが、ハーバードの場合は奨学金を申請しても受験には不利にならないです。なので、経済状況にかかわらず同じ条件のもとで入試を受けられるということになります。

*1:2021年2月19日時点でのレート 1ドル≒105円で計算

両方に通って感じた東大とハーバードの違い

世間で噂されるような話から、初めて知る話まで披露してくれました

大塚:柳津さんは4月に東京大学に入学し、その年の9月にハーバード大学に入学して、2つの大学を経験していますよね。両方の大学に通ってみて感じた違いや特徴などはありますか?

柳津:勉強面で言うと、平均的な勉強量に関してはハーバード大学の学生の方が多いのかなと思います

それはやっぱりたくさんお金を払っているから、っていう部分もありますし、アメリカの場合、大学卒業後の就職でもGPA、つまり大学の成績が評価されるのでプレッシャーが大きいから、という理由もあります。

それと同時に、図書館が24時間開いていたり、授業が少人数だったりして勉強に集中できる環境も整っています。なので、深夜までずっとペーパー(課題)を書いたりとか、みんなで一緒に宿題をしたりっていうことで、勉強時間としては長くなりますね

それが授業とか勉強の面で1つあります。

もう1つあるのは、やっぱり学生の自主性が強いです。みんないろんな(課外)活動をして入って来ているので、大学に入っても自分のやりたいこととか、社会貢献をしたい、みたいな思いをすごく強く持っています。

部活動をすごく頑張ったりするだけでなく新しい部活を立ち上げたりとか、そういう人がいて。

待っていても誰も機会はくれないので、自分で教授とかにコンタクトしたり、あるいは新しいことを始めたり、みたいなことをやっている人がいっぱいいます

大塚:なるほど、例えば授業の形式などで、アメリカの大学はここが日本に比べて特徴的だった、みたいなことはどこかありますか?

柳津:僕は基本的に文系の学問をやっていてディスカッションの授業を多くとっているんですけど、例えば日本の大学って大人数の授業ってありますよね、100人単位の大きな講義みたいな。

アメリカの大学、というかハーバードにもそういう授業は実際にあって、例えば有名なところではマイケル・サンデル教授の授業とかがありますよね。

同じように100人とか200人の授業なんですけど、日本の大学と違う点は、その200人くらいを10人単位のグループに分けて、週に1回、ディスカッションのセッションがある、ということですね。

それは講義で学んだ内容だったりとか、課題図書とかを読んでちゃんと学んできて、その場で発言しないと成績がつかない、という仕組みがあって、それで教授やインストラクターとの繋がりを維持しようっていうことがありますね。

大塚:授業のスタイルがそれだけ違うと、成績の評価方法もけっこう大きく変わってきますか?

柳津:そうですね。ハーバード大学の方ではParticipation points、つまり参加点っていうのがあって、それはちゃんと授業で発言をしないと点数がつかないんです。僕の場合は文系なので、けっこうレポートとかも多いです。そこは日本の大学とあんまり変わんないのかなと思います。

大塚:例えば期末テスト一発で100%決まる、みたいなことは?

柳津:基本的にそれはないですね。

大塚:そこは大きな違いになりますね。

ハーバード大学には偏差値は通用しない

大塚:日本の大学は偏差値っていう指標で評価するのが普通ですが、もし仮にハーバード大学を偏差値で表すとするとどれくらいですか?それとも、偏差値という指標では測れないと考えますか?

柳津:たぶん、偏差値という概念自体が、ハーバードにくる学生の特質とあんまり合ってないかなと思います要するに、偏差値では測れないと思います

さっきも話した通り、ハーバードでは多面的な評価をして学生を入れているんですよね。テストっていう項目も、テストがこの点以上だったら絶対合格、ってわけでもないです。

月並みな表現になるんですが、ハーバードは人種や経済状況、出身地域などの多様性を第一に考えて入学者を選んでいると思います。なので、入学してくる学生の学力レベルを比べてもけっこう差があります。

例えば、数学のⅠ・A・Ⅱ・Bが分からないっていう学生もいれば、数学オリンピックで金メダルを取ったという学生もいて。そういう多様な学生に対応するために授業のレベルも上から下まで幅広くなっています。数学で言うと、日本の高校レベルの授業もあれば、大学院でやるようなレベルの授業もあります。ハーバードでは大学院の授業も取れるので。

このように学力の偏差値っていう一義的な評価軸で学生を入れていないですし、だからこそ多様な学生に対応するためのサポートシステムを大学の中で構築しているな、と思います。

大塚:そうなんですね。例えばそういう、数学Ⅰ・A・Ⅱ・Bができなくても合格した学生は、他の面で秀でた部分があって、そこが評価されて入学したという感じですか?

柳津:そうですね。例えば、7ヶ国語くらい話せる、とか。僕のルームメイトがそういう人だったんですけど。あるいはスポーツがすごくできるとか、そういう枠もありますし。

大塚:じゃあもう本当に、学力を基準にその偏差値で判断する、っていう考え方ではないんですね。

柳津:はい、それもそうですし、ハーバードでは「学力」というものをもっと幅広く捉えているように感じます。たった1回の5教科のテストの成績だけが学力じゃない、というふうに。

もちろん学問機関なので、結果的に学問はできてもらわないと困るんですが。

大塚:全学で統一してこれがウチの学力の判断指標です、みたいなのはないと。

柳津:そういうことはないですね。

大塚:そこがやっぱり日本の大学と大きく違うところですね。

後編では・・・

さて、前半では、日本の大学とはかなり違うハーバード大学について、その入試をメインに話を聞いてきました。

後半では、実際にハーバード大学はどういうところなのか、1日のスケジュールやクラブ活動、そして海外大学を目指す人へのメッセージをお届けします!

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