ハーバード大学へ進学した若き日本人学生に迫る!【後編】

前回に引き続き、ハーバード大学へ進学した日本人学生に迫ります!

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みなさんこんにちは、ポケット予備校です!「ハーバード大学に進学した日本人」そう聞いたら、みなさんはどんなイメージを持ちますか?今回ポケット予備校は、アメリカ・ハーバード大学に合格し入学したひとりの日本人学生にインタビ[…]

【柳津聡】2000年生まれ。現役で東大とハーバード大学、そのほか複数のアメリカ名門大学に合格。東大に数ヶ月在籍した後、ハーバード大学に進学。大学では相関社会科学を専攻している。

〈聞き手・文=大塚(ポケット予備校 編集長)/ 撮影=上野〉

ハーバード大学での大学生活

大塚
大塚
大学ではどのような1日を過ごしていますか?
今はコロナでイレギュラーなんですけど、普段であれば、朝起きてから食堂でご飯を食べて、午前中や午後2時まで授業を受けて、あとは課外活動やミーティング、好きな国際政治などのセミナーがあるのでそれに出て、夜ごはんを食べて、夜2時くらいまで図書館で勉強する、みたいな1日が平均的な過ごし方です。
柳津
柳津
大塚
大塚
やっぱりすごいですね。専攻は何ですか?
東大と同じで、リベラルアーツ教育なので入学するときには専攻は決めないで、2年生の秋学期に決めます。僕はちょうど最近決めたんですが、Social Studiesという学部で、日本語に訳すと相関社会科学みたいな感じになります。

社会思想の授業は取る必要があるのですが、それ以外には経済や歴史、政治など文系のいろいろな授業をとって良い、という学部です。

柳津
柳津
大塚
大塚
実際にハーバード大学の授業はどのような感じですか?
今学期とった授業としては、1つには例えば社会思想入門という授業があります。ホッブスやルソー、アダム・スミスやマルクスといった思想家に対して、週に1人のペースでその人の書物を読んでいくといった授業です。

他には、正義論という本を書いたジョン・ロールズという政治哲学家がいるんですが、その人の本だけを読む、といった授業もありました。

今学期はリーディングの量がヘビーな授業が多かったですね。

柳津
柳津
大塚
大塚
よく、週に何十ページも読む、みたいな話を聞いたりしますが・・・
いや、何百ページですね笑
柳津
柳津
大塚
大塚
あぁ、そうなんですね笑 舐めてました笑

授業でそれくらい読むんですね?

ただ、一言一句真面目に読むっていうよりは、著者の主張や議論を捉えて読まないといけないところだけしっかり読んで議論でちゃんと答えるという感じです。

すごくちゃんと読んでも授業に参加できなかったら意味ないので、どちらかっていうとそっちを目的に、上手く賢く読む読み方を身につけるためにそもそもそんなにたくさん課題として出されているんだと思います

柳津
柳津

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大塚
大塚
サークルやクラブなどはどのような活動をしていますか?
もともと高校以前から英語ディベートをやっていたので、大学1年生の時はハーバードのディベート部に入って、2週間に1回くらいみんなで車に乗って他の大学に行って大会に出る、みたいなことをしていました

今学期でいうと、外交研究部のようなものがあるんです。そこではメンバーがチームに分かれて、パートナーとして協力している他国やアメリカの政府機関があるのでそこにリサーチのお題をもらって、みんなで調べてレポートにして彼らにプレゼンする、という活動なんですがそのプロジェクトの1つの責任者をやっていました

柳津
柳津
大塚
大塚
政府機関を相手にプレゼンをしたり調査をしたということですね・・・
相手がどこかは言えないんですけど
柳津
柳津
大塚
大塚
大丈夫です、聞いて狙われたりしたくないので笑
そうですか笑
柳津
柳津
大塚
大塚
それだけの活動をしていると睡眠時間はけっこう削られたりしますか?
僕はけっこう寝ないとダメなタイプなので、平日は頑張って作業して土日にまとめてバーっと寝る、みたいな感じになっちゃって、あんまり良くないんですけど。

他のハーバードの学生でも、寝ない人はけっこう寝ないですね。でもそれが、俺は今日これだけしか寝てない自慢、みたいになってくるんですよ

柳津
柳津
大塚
大塚
アメリカでもあるんですね。
そう、アメリカでもあるんです

良くないよって話なんですけど笑

柳津
柳津

アメリカの大学を目指す高校生へ入試対策のアドバイス

大塚
大塚
それでは最後に、柳津さんと同じようにアメリカの大学を目指す高校生に対して、入試対策でどのようなアドバイスができるのか、というところを聞いていきたいと思います。

前回、柳津さんはアメリカの入試で重要な要素として次の7つの項目を挙げました。

  • 学校の成績
  • 学校の先生の推薦状
  • テストスコア
  • 課外活動歴
  • 受賞歴
  • エッセイ
  • 面接

うち、最初の6つは書類審査の項目です。

大塚
大塚
それぞれの項目に対して、ご自身の経験からぜひアドバイスをお願いします。
まず一番大事なのは学校(高校)の成績です。なのでそこに関しては気を抜かずに頑張ってください。それがベースラインです
柳津
柳津
大塚
大塚
なるほど
推薦状に関しては基本的に学校の先生に書いてもらうので、特に好きな教科などで頑張って、先生と良好な関係を築いておくのが良いと思います。

推薦状をお願いするときも、単に「推薦状を書いてください」じゃなくて、アメリカの入試制度を説明しつつ、こういう部分を打ち出したいので、こういうエピソードを書いてもらっていいですか、というように具体的にお願いできればなお良いかなと思います

 

基本的に、書類審査の6つ項目でそれぞれ違う側面を出すことで全体的な自分のカラーを見せれるかなという感じです

柳津
柳津
大塚
大塚
課外活動や受賞歴はどうですか?
基本的には、自分のやりたいことをやって良い結果を出したりある程度の水準まで行くっていうことが大事だと思います。

よく、「何やれば良いですか?やっぱりディベートとか科学オリンピックとかが必要ですか?」と聞かれるんですが、それは必要条件ではないので、自分のやりたい学問分野に関わりがあることで自分が楽しいと思えることをやることが大事かなと思います。そうでないとけっきょく結果も出ないと思うので。

柳津
柳津
大塚
大塚
エッセイに関してはどうですか?
特筆すべきはエッセイですね。これに関しては日本の入試とは全然違うと思います。

これは志望動機書というよりは、自分の人生の中で影響があった出来事や人をピックアップしてそれについてエッセイを書いて、自分はこういう人間なんだということをアピールします

 

例えば、自分は共感をとても重んじる人間だ、とか、コンフォート・ゾーンを出て新しいことにチャレンジできる人間なんだ、といったようにテーマを決めて、それを単に”Tell”するんじゃなくて”Show”する、描写するんですね。

 

これはけっこう難しくて、僕は高3の後半は全てこれに費やされたようなものなので、受験を本格的にしたいと思ったら書き方などをリサーチすると良いと思います。インターネット上にもエッセイの例などがあるので。

柳津
柳津
大塚
大塚
日本の入試とはかなり違いますね
基本的に、そもそもアメリカの大学がいいとか日本の大学がいいとかではなくて、大学っていうものが日本の外にもあって、それを選択肢に入れて考えることによって実際に海外の大学に行かなかったとしても日本の大学をもっと使い倒してやろうという気になればいいと思います

日本の大学という選択肢しか知らないからとりあえず日本の大学に行こう、ではなくて、理由があって自分の行きたい大学へ行くという積極的な姿勢になれば、どこの大学に行くにしても良いと思います。

柳津
柳津
大塚
大塚
柳津さんは実際にどのようなテーマでエッセイを書きましたか?
自分のキラキラとした業績などの面は推薦状や課外活動歴などで示されているので、どちらかというと自分の内面的な部分、コンプレックスを乗り越えて他者と繋がっていこうとする姿勢をテーマに書きました。

僕は手汗がひどくて、人と握手するのがイヤだったんです。でも中国にイベントで短期留学に行ったときに、みんなと握手して自己紹介して友達になろう、みたいな企画があったときに「きついな〜無理だな〜」と思って端っこで縮こまっていたかったんですけど、そこで頑張って心の殻を開いて友達になり始めたことで自分の中の何かが変わった、というエピソードを挙げました。

 

それ自体で以降の人生を全て変えたというものではないんですけど、心の葛藤を象徴する良い1つのシーンとして書きました。自分なりに自分を表現できたなと思えたら後悔ないんじゃないかなと思います

柳津
柳津
大塚
大塚
それは意外な内容でしたね。
大塚
大塚
テストスコア対策についてはどうですか?
元々の英語力にもよるんですが、日本で生まれ育って中学から英語を始めた人にはけっこう難しいので、そもそもの土台として学問的な英語力を早めに培った方が良いと思います。

僕自身は中学から英語を始めた身なので、中学から英語を始めた人でも遅すぎることはないのですが、例えば自分の好きなジャンルのニュースや記事や論文を読んで英語を吸収してボキャブラリーなどをつけていきましょう

 

テストとしてはまず初めはTOEFLや英検などの学問検定の試験をベンチマークにしつつ、高校生になったら試験勉強も早めに取り組んで問題集などを反復するといいと思います。そこは日本の入試と姿勢としては基本的に同じかなと思います。

柳津
柳津
大塚
大塚
面接はどのような感じで行われましたか?
ハーバードなどのアメリカの大学の場合は卒業生が日本に住んでいるので、彼らと面接をします。アドミッションオフィサー自体とではないです。

内容も、日本の就職面接やAO入試のようなかしこまったものではなくて、スタバみたいなカフェに呼ばれてコーヒーもらって、高校ではどういうことを勉強しているの?とか、何でうちの大学に来たいの?みたいな感じで進んでいきます。

 

面接官が僕に質問するだけではなくて、大学に関して聞きたいことありませんか、みたいな感じで僕から面接官に質問する機会もあります。面接官は大学のOBなので。

 

あらかじめ定型の答え方を用意するのではなくて、雑談のような会話を長くする中で自分の知的な面を見せれたらいいかな、という感じです。僕は7時間面接しました。

柳津
柳津
大塚
大塚
え?! 1人の方とですか?
はい。あるカフェで4時間ずっとしゃべって、「喋り足りないから別のところ行こうか」ってことで2つ目の場所で3時間話して、帰るときには夜になっていた、みたいな感じです。楽しかったからよかったんですけど。

「日本の観光についてどう思う?」みたいなことも聞かれて。OBの方が京都に住んでる人だったからなんですけど、そういう感じでした。

柳津
柳津
大塚
大塚
それが各大学ごとにあるんですね。
そうです、そしてそれぞれのOBの方がレポートを書いて各大学のアドミッションオフィサーに送ります。「この受験生はこういう子でした」といった感じで。
柳津
柳津
大塚
大塚
そうなんですね。
実はそれも受かった後で読めるんですよ
柳津
柳津
大塚
大塚
あ、そうなんですか!じゃあ、こんなこと書いてくれたんだ、みたいなのが見れると。
ベタ褒めしてくれてありがとう、みたいな感じでした笑
柳津
柳津
大塚
大塚
なるほど、それは感謝ですね笑

海外大学を目指す高校生に応援メッセージ

大塚:それでは最後に、海外の大学を目指したい高校生に応援のメッセージをお願いします。

柳津:はい。今はコロナ禍で難しい状況だとは思いますが、まずはインターネットや本といったメディアを通じて海外の情報に触れてみることが大事だと思います。

その中で興味のある国や分野が出てきて、実際に海外の大学・大学院に行けたり、就職といった形で実際に海外と直接の関係を持てればそれはすごくいいことです。

そうでなかったとしても、海外の情報に触れることで日本を外の視点から見ることができて、今まで気付いていなかったような日本の良い面や悪い面にスポットライトが当たればそれもそれでいいんじゃないかなと思います。

実際に海外の大学を受験したいとなれば、1番ネックになる場合が多いのが語学力だと思うので、英語に関しては学校の授業だったり自学自習を通じて早め早めに身に付けておくのが良いと思います。日本の受験でもすごく役に立ちますし、自分の強みになるんじゃないかなと思います。

それでは、ぜひ頑張ってください!

終わりに代えて

編集者は柳津さんとは大学1年生からの付き合いで終始打ち解けてインタビューを進めましたが、世界最高峰の学生であることを微塵も威張ることなくたくさんの話を聞かせてくれました。

東大生がテストだけで測られるのに対して、総合的な優秀さでハーバードに認められた柳津さんは一枚も二枚も上手に感じました。

人間的にも素晴らしい柳津さんが、これから世界でどのように活躍していく人になるのか、楽しみにしたいと思います!

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