みなさんこんにちは、ポケット予備校です!
噂にはすごいと聞く東大文科一類、実際はどんなところなんでしょうか?
早い話、東大文一は偏差値70を超える日本文系の最高学部です。
でも具体的に文一の何がすごいのか、そして文一の受験はどれくらい難しいのか、さらには文二、文三との違いは何なのか、受験生として知りたいことは盛りだくさんでしょう!
そこで、この記事では現役の文一生が文科一類の実態について徹底的に解説していきます!
注:文一は厳密には学部とは呼べませんが、この記事では便宜上、学部のようなものとして話を進めていきます。
文一の凄さ:偏差値は70を超える?
すごいすごい、日本一だ、といっても、何がすごくて何が日本一なのか、と思うでしょう。文一は、例えばこんなことが日本一なんです。
偏差値が日本一
各予備校が毎年大学・学部別に偏差値を出して難易度を発表しています。ここでは河合塾・駿台・東進の3大予備校の出す偏差値を見てみましょう。
まず河合塾によると、東大文一は偏差値67.5で他の文二、文三、そして京都大学と並んで日本トップとなっています。
次に駿台予備校によると東大文一は偏差値70で日本トップ。
出典:【駿台】大学の学部別偏差値ランキング一覧|全国判定模試 – 大学偏差値テラス
最後に東進にいたっては東大文一の偏差値を73と評価、やはり日本トップです。
偏差値で他のどの文系大学、文系学部よりも上に位置する東大文一、受験のトップと言われるだけの数字を持っています。
なお、ベネッセ模試の偏差値は全体的にかなり高めに出てインフレ気味なので、あそこまで高く見るのは現実からちょっと離れちゃうのではないかと思います。
多くの年で合格最低点がもっとも高い
合格最低点が高いということはそれだけ入試のハードルが高いということです。東大には文一、文二、文三の3つの文系学部がありますが、直近の年度の入試を除いてここ10年近く、毎年文一がもっとも合格最低点が高いです。
2019年度入試では文二の合格最低点が文一を上回り、10年近く前例のないこととしてちょっとしたイベントになりました。2021年にはまさかの文一の最低点が一番低くなり、高い順に文二>文三>文一となりました。
とはいえ、ほとんどの年で文系でもっとも合格最低点の高い文一は、伝統的に最難関学部と言えるでしょう。
どうして文一はこれほどすごいのか
自分でも恥ずかしいくらい文一のすごいところを挙げてきましたが、どうして文一はこれほどの凄さを持っているのでしょうか。
もちろん1つの理由に限定できませんが、やはり最大の理由は、文一が法学部と強く結びついていることです。
東大には進振りという制度があることは知っている方もいるかもしれません。東大は入学時に学部を決めるのではなく、2年生になったときに3年生以降に進学したい学部を決めます。
とはいっても全く自由に決められるわけではなく、〇〇学部に行くには文○からが有利、というような対応関係があります。例えば経済学部は文二から、医学部は理三から、といった感じです。
そして法学部は文一から、です。
法学部では法曹界に進みたい人だけでなく、官僚になりたい人や政治の道に進みたい人などが勉強しています。そういう領域は昔からエリートとして認められており、文系の中では法学部がもっとも難関である、という認識があります。
例えば官庁の中でもっとも人気のある財務省ですが、法学部出身者が非常に多いです。官僚になりたい、しかも一番いい官庁に入りたい、となったらたとえ「財務」省であっても法学部を選ぶように、法学部は文系学部のトップとしての認識ができているんですね。
このため法学部にもっとも近い文一も、文系のトップとして君臨しているといえます。
それから、この副作用的な結果として、とりあえず一番目指したいから文一で、という受験生もいて、その結果競争が激しくなる、ということにもなっています。(編集者もそういうモチベーションで文一を受けたので人のこと言えませんが)
この点で言えば理科三類の文系版ですね。
とかいって文二に抜かれてませんでしたか?
これだけすごいと言ってきましたが、読者の中には、2019年に文一が文二に合格最低点で抜かれた、という出来事を知っている人も多いでしょう。
具体的な背景は後半で「その科類を志望するべき?」ということと合わせて解説していますが、簡潔に言えば、文一の人気は以前ほどは高くないのかも、といった感じです。
2020年度では文三が文二を抜くなど、文科の中でも序列がはっきりしなくなってきているのが現実です。
定員や男女比、授業など、軽く文一基本情報
文一の募集定員は、東大公式HPより401人です。ただ、実際の合格者はこれより少しだけ多くなっています。おそらく、合格最低点が同点の人が何人かいてキリよく401人にならなかった、ということでしょうが、ここは受験生としてはあまり意識しなくて良いでしょう。
出典:東大公式HP
男女比については、代ゼミのサイトより2020年度入試の合格者では女子率が23.6%となっています。東大全体ではおよそ19%だったので、全体平均よりは女子率が高いかな、といった感じです。
授業は法と政治を中心に学ぶことになっていますが、これは法か政治の授業のうち少なくとも一方を必修で取らないといけない、くらいの話で、あとは自分で選べますから、授業が全体として法と政治に偏っている、というわけではないです。
取る授業としてはほとんど文二生と同じでしょう(文三はまたちょっと違います)。
文一への入試のポイント
受験科目が多い
東大の入試は科目数がとても多く、受験生としても勉強することがかなり多いですね。
共通テストの科目は選び方が複雑なのでポイントだけ説明すると、理系の科目も受ける必要があります。文系生にはここが意外にきつい部分です。配点としてはかなり小さいのに、対策が大変だから厄介なものです。
二次試験では国語、数学、英語に加えて、社会科目を2つ受験する必要があります。世界史、日本史、地理の中から2つ選びますが、社会を2科目論述式というのは他の大学ではほとんどないことで、東大受験生にのしかかる大きな関門の一つです。
例えば世界史1科目だけでも大変なのに、もう1つやるとなるとかなりの大変になるのが予想できますよね。そのため、東大対策は早め早めに対策することをオススメします。
足切りはこれくらい
河合塾のまとめた表によると、ここ数年では文一の足切りは得点率70%よりは下だと見て取れます。他の科類と比べても、ほとんどの年で文二や文三より低くなっています。
出典:東京大学 第1段階選抜ラインの推移 | 東京大学入試情報2021 | 東大塾 | 河合塾
過去の統計を見る限り、一次選抜(共通テスト)では70%以上得点すれば足切りはされなかった、と言えるでしょう。
この70%以上の得点率、というのは第一次段階の足切り突破の一つの目安になるでしょう。もちろん、毎年変わるものですし、最終点数にも加算されるので、できるだけ高い点を取ることは何より大事なことは言うまでもないです。
文二、文三と比べると・・・
文二、文三との難易度比較
難易度を測るためには偏差値より合格最低点を見るべきです。それが実際の選抜になるからですね。
河合塾のまとめた表によると、2014年から2018年までは文一>文二>文三の順番で合格最低点が高くなっています。
2019年には文一と文二が逆転し、文二>文一>文三の順番になりました。
2020年はまた変わって文一>文三>文二の順番になりました。
出典:東京大学(東大) 合格最低点・平均点の推移 | 東京大学入試情報2021 | 東大塾 | 河合塾
ここから見えてくることとして、数年前までは一貫して文一>文二>文三の順で難易度が高かった、と言えます。5年間もその序列が変わらなかった時代はかなり固定的だったと言えます。
しかし近年ははっきりとした難易度順がありません。2019年と2020年では最低点の順番がコロコロ変わり、その予測が難しくなっています。
受験生としては困惑するかもしれませんが、逆に余計な情報に惑わされなくて良くなった、と考えるべきではないでしょうか。
どの科類も順序なくほとんど同じくらいの点数なので、どこの科類に志望しようと自分の受験勉強に集中すればいいだけなんだ、という風にも見れると思います。
どうして文二に抜かれたのか
2019年には文一が文二に合格最低点で抜かれ、文一の天下がついに終わったのか?と騒がれたりもしました。
その背景として、最近は官僚人気、法曹界人気も下がっていると言われ、逆に外資系などに就職したい人が増え、文二→経済学部ルートを選択する人も増えたと言われています。
このような結果、文一の人気も下がって、文一が常にトップ、という状態も揺らぎつつあるのかもしれません。
そこで文系の受験生にとっては気になるのが、ではどこに志望するか(どの科類で受けるべきか)、ですよね。
どの科類を選ぶべきなのか?
合格最低点の順序は確かに志望先選びに大きく影響します。近年のようにそれがはっきりしなくなるとどこを志望するべきか悩ましくもなるでしょう。
しかし「順序がはっきりしないからこそ、自分の勉強したいところに志望するべき」だと編集者は考えています。
順序がはっきりしないのは2019年だけでなく、2020年度でも同じでした。もはや、今までのように、文一>文二>文三という順番で考えるのは意味がない、と言えると思います。つまるところ、どこが何番かわからなければ、それを元に志望先を判断できないわけです。
そうなれば最低点ではなく、本当に自分が勉強したいところ、自分の将来に役立つところ、で選ぶ、という判断がけっきょく最良ではないでしょうか。
そもそもどの科類を選ぶにしても受験科目が同じなので対策も同じです。合格最低点が低いからと受験勉強で手を抜くわけでもないし、どのみち頑張って勉強するだけなので、最低点のことを考えるより、自分の希望や将来と今の受験勉強に集中するべきですね。
それに実際のところ、どこの科類が一番かなんてことは、大学に入ったら大して気にかけないものですよ。
文一生の進振り
主な進学先
やはり一番オーソドックスなルートは法学部への進学です。最近は法学部人気が徐々に下がっていることもあり、文一からであれば、よほど低い点数を取らない限り法学部には進学できます。そのため、実質的に法学部が文一からの進振りの滑り止め的な扱いになっていることも往々にしてあります。
そのほかには後期教養学部、文学部などに進学する人も多いですね。ここら辺に進学するには法学部に行くときよりは高い点数が必要とされることが多いです。
実際どれくらいの人が法学部に行くのか
文一といえば法学部、というイメージが強いですが、実はそれ以外の学部に進学する人はけっこう多いです。
去年の進振りの様子だと、法学部進学は8割弱くらいで、それ以外の学部への進学が残りの2割強くらいを占めているといった感じです。
ちなみに文一に入ったのに法学部に行かない人のことを「脱法組」なんて言ったりしますが、「脱法」してもそこまでレアなことではないよね、くらいの認識があります(なお、編集者も「脱法」しました)。
そんな「脱法組」もほとんどは文系の他の学部に進学します。多いところでは後期教養学部、文学部などです。
たまに理系に進学する人もいますが、かなり少数です。中には医学部に進学する人(医進)もいますが、文系からの医進は成績が本当に高い人だけができる狭き門です。上位1〜2%くらいの優秀な学生でも苦戦する、くらいのレベル感です。
文一受験のために
今回は文一の紹介がメインですが、最後に少しだけ受験対策も書いておきます。
文一だから、ではなく、東大文系への対策が必要
まず、文一だからこういう対策が必要、ということはありません。文一でも文二でも文三でも、受験科目は同じですし、どれも総合点で合否が決まるので文系への対策はどの科類でも同じになります。
そこで、「東大文系」に向けた対策が必要になります。東大はいうまでもなく国内最難関の大学ですので、受験生としてはよくよく対策する必要があります。
全体としては上にも書きましたが受験科目が多いので、早め早めに準備し始めるに越したことはないでしょう。個別に科目には個別の対策があるので、それはそれぞれで取り組むべきですね。
私たちのこのサイト、「ポケット予備校」でも、各科目対策をはじめとして、現役東大生による詳しい東大対策の解説記事をたくさん揃えているので、ぜひ参考にしてもらえると幸いです。
まとめ
さて今回は、入学前の受験生には分かりにくい文一の内情について説明してきました。これから志望するところがどんなところなのか、みなさんが知れる参考になれば嬉しいです!
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