医学部進学への難しさは?理二の基本から進振りまでを現役理二生が解説!

みなさんこんにちは、ポケット予備校です!

東大の科類って、受験生にとっては分かりにくいですよね。どんな授業なのか、進振りはどれくらい難しいのか、みたいなところは特にです。でも進振りが分かってないとどの科類で受験するか選べない・・・。

そこで、この記事では今現在、東大の理科二類に在籍する編集者が、理二の基本情報から入試、そして進振りまで丸っと解説していきます

ちなみに編集者はすでに進振りを経験したので、みなさんが特に知りたいであろう進振り事情についても十分に解説していきます!

それでは、今回は理科二類がどんなところなのか、理二出身者の視点からお伝えしていきますよ!

理科二類の基本情報

まず全体の人数は550人弱で、人数としては1000人を超える所属者を誇り1学年の3分の1以上を占める理科一類の半分ほどです。

男女比は女子率が4分の1くらいで、これは東大の中では理系のみならず文系を含めた全体から見ても高い割合です。入学すると原則として選択した第二外国語ごとに30-40人ずつのクラスに割り当てられるのですが、編集者の場合はフランス語だったこともあって約3割が女子でした。

また、クラスは例えば「理二・三〇〇組」といった形で、理二と理三は混ぜられて振り分けられます

このことから「理科二類に入ると1年半にわたって理三生との壁を感じることになる」なんて時々言われたりして、編集者も入学前に聞いたことがあります。

しかし実際には全くそんなことはなくみんなフレンドリーでむしろ理三生にテスト勉強で助けてもらえるなど嬉しい点も(ただし例外もあります笑。そしてもちろん理二生にも優秀な人がたくさんいます!)。

というのも東大のほとんどのクラスでは試験対策委員(通称「シケタイ」)という制度があります

これは公式な制度ではないですが、前期教養に在籍する1年半の中で、必修科目、または多くの人が履修する選択科目の学期ごとの試験に対策するためのシステムです。

クラスの中で1人あたり1,2回は割り振られ、具体的には課題の解説や授業内容のまとめ・補足を引き受け、分担と協力によってテストを乗り切るための仕組みです。

クラスに理三生がいることで優秀な彼らの書く分かりやすいシケプリ(試験対策プリントのこと)を共有でき、特に多くの人が苦戦する物理・数学系の科目で大いに役立ったりします。また、定期試験の過去問は普通、学生自治会で手に入れますが、クラスに理三生がいることで学生自治会では手に入らないような過去問までも入手できたりもします。

これは彼らの頭脳のみならず、総勢約100人という理三の少なさと、その中でのいわゆる有名進学校出身者の割合の高さが生み出す強いネットワークの産物であり、同じクラスにいる理二生もその恩恵を受けられるというわけです

入試について

理一との比較

東大にはいわゆる進振り(正式名称は進学選択制度)があるおかげで入学後に自分の専攻を選択できますから、理一と理二のどちらで受験するか迷っている人もいるかもしれません。

難易度については結論から言えばほとんど差がないと言って良いでしょう

倍率(*1)は理一が2.5倍、理二が3.5倍となっていますが点数に関していえば、共通テストと二次試験どちらについても要求される点数はほとんど変わりません。厳密には近年は理二の方が低いのですが、その差はだいたい10点前後でほんの安心材料にしかなりませんし、逆に理一を受けるとしても悲観する必要はありません。

これは2つの試験を合わせた550点満点での値であり、東大合格者における共通テストの争いは頭打ちである上にそこへ900点満点→110点満点の強い圧縮がかかることを考慮すればほとんど残り440点満点の二次試験における差に等しいと考えても、英語・数学・国語・理科の教科毎で見れば微々たる差になります。

*1:正確にはいわゆる「足切り」のこと。共通テストを終えた東大出願者のうち、二次試験の受験資格を与えられた人の、最終合格者に対する比率。つまり(二次試験受験者÷合格者)のこと。 参考:東大公式HP

受験生の特徴

理科二類の受験生の特徴としては、まず浪人生が多いことが挙げられます。さらに数年前に理三の第一段階の選別倍率が4.0倍から3.5倍になった、つまり理三の足切りが厳しくなったことで、理二を受験してそこから医学部進学を狙う人が微増した、とも言われます。

このように受験生のレベルも高いと考えられるので、対策は抜かりなく行いましょう

ちなみにですが、理三以外から医学部へ行くのは至難の業です。(次の章で解説)

入試対策

そして入試本番においては合格のためには、難問を解くことより、全体の中で難しいとまでは言えないような問題を確実に解くことが目指されます

詳細な配点は非公表ですが、東大では特に理科をはじめとして、問題数が多い割に満点が小さく正解した際に与えられる点がそれほど難易度によらないと考えられるため、このような方針が一層肝心となります

具体的な入試対策については長くなってしまうので、東大生編集メンバーによる東大対策総まとめのページで網羅的に解説しています。自分の知りたいジャンルを選んでご覧ください。

理科二類の授業と進振りについて【医学部進学はかなりの難易度】

授業の特徴

入学してから教養学部にいる1年半、理科各類の取得すべき単位数は全て同じですが、必修科目の授業内容に理一と若干の差があり、生物系のものがやや多いです

具体的には2年生前期の基礎生命科学実験が必修であること、1年生前期の数学演習が必須ではない代わりに生命科学が前期・後期ともにあることなどです。

そんな理二ですが、実は入試での理科(2科目)は(大多数が化学を選ぶ上で)物理選択者が生物よりも多数派。なので、講義をする上で教授陣もこのことをよく理解していますし、生命科学の試験も入試で生物を選択しななった人同士で十分助け合えます。そのため受験においては、入学後の授業の心配は忘れてとにかく自分が強い科目で入試に挑みましょう

なお、入試で物理を選択しなかった人は、必修である「力学A」「電磁気学A」の代わりに「力学B」「電磁気学B」というやや優しい内容の授業とテストを受けて同じ科目の単位とすることができることは理解しておいてよいでしょう。

入試で生物を選択しなかった人に対して、生命科学においては同様の措置はなく、全員同じ内容です。

進振りについて

進学先も、やはり生物系の学科に進む人が多いです。具体的には農学部や薬学部、理学部の生物系の学科や工学部化学生命工学科(いわゆる「化生」)などが挙げられます。

ただし、理科二類からの進振りでは、いくつか注意する点があります。

医学部への進学

まず、先ほども述べましたが医学部医学科へ進むには理三生以外の場合かなり高い点数が求められ、90点は下らないでしょう

そもそも進学選択とは入学後1年半の成績を基にした競争です。進学に必要な点数は学科の人気度や科類に応じて採用する枠の広さに関係します。

それも高校までと異なり、同じ学年の同じ科目を比べても、担当する教員の厳しさが成績評価に影響されてしまうため、場合によっては他の教員に担当される学生よりも不利になるという本人の努力の及ばない要素も絡んできます。

ですので、医学部進学を望んでいるのであれば、入試のときは理三以外から入って、大学に入った後に進学選択で医学部進学を狙うという作戦はおすすめできません。受験前にしっかり検討してください。

薬学部への進学

薬学部へ行く場合は実は理一からの方が点数が若干低い年もあるので薬学部進学を狙って東大を受ける場合は理二からが最短距離、とも一概には言えません。

農学部への進学

農学部へ行くとなるとそこまで高い点数は要求されませんが、その代わり進学選択における評価尺度として「各科目の平均点×取得単位数」を採用しているのが特徴です。

これは、例えば平均点が76点のAさんと75点のBさんがいた場合、一般的な学科を狙う場合には点数の高いAさんが若干有利であるものの、累計取得単位数が順に70単位、80単位とすると農学部進学にあたって2人の評価は76点×70単位=5320点、75点×80単位=6000点となりBさんが優位に立つことになるシステムです。

よって農学部に行きたい場合は、最低限取得すべき量だけにとどまらず、多くの講義を履修しておくのが良いでしょう。また、このシステムのせいか文系各類から農学部を狙う人も案外いるということも覚えておいてください。

理科二類についてのQ&A

まとめに変えて、最後に、理科二類を受験するにあたって知っておきたい情報をQ&A形式でまとめておきたいと思います。

Q 入学してからのクラスの特徴は?

A 女子率やや高め。理三生と一緒で、テスト対策で有利になることも多い。

 

Q 合格は理科一類よりも簡単?生物は勉強しておくべき?

A 理一との差はほとんどない。理科の選択は物理が生物よりも多数派なので生物系の授業が多くても特に心配はいらない。

 

Q 理二生の進学選択はどんな様子?

A 農、薬を始め生物系の学部・学科に進む人が多数。ただし農学部の成績算出が特殊だったり、理一からの方が薬学部進学への点数が低く済んだりして注意が必要。

いかがでしたでしょうか。理科二類に所属していた者の情報として、受験生が理科二類を理解するために少しでもお役に立てたなら幸いです!

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