【理論化学】理論化学の対策を現役理系東大生が解説!

こんにちは!ポケット予備校です。

今回は、東大化学に限定せず、理論化学の対策について解説したいと思います。二次試験で、化学が必要な方は必見です!

理論化学って何なの?ってところから始めていきたいと思います。

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理論化学の位置付け

高校化学は、理論化学、無機化学、有機化学の3つに分けられます。そのうちの1つですね。

次に、理論化学って何なの?という所です。理論化学は、物質の構造、物質の状態、物質の反応の3分野に分けられます。

この3分野と言われれも、よく分からないと思うので、具体的な分野で言うと、
物質の構造は物質量や電子配置の問題、物質の状態は状態方程式や溶解度の問題、物質の反応は熱化学や酸化還元の問題があげられます。

また、理論化学の各分野は、酸化還元が理解できないと、電気分解が理解できないように、相互に関わってくるので、教科書の順番通りに1分野ずつ、進めることが大切です。

これらの理論化学の入試問題に共通することは、計算問題が多いということです。また、東大や京大といった難関大学の問題でも、問題集で見たことあるというような類似問題が多く、無機化学、有機化学に比べると、奇をてらった問題はそこまで出題されないという印象があります。

そのため、理論化学の分野は、問題集で、問題を知り、計算量に慣れる演習をしっかり積むことが重要です。

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理論化学全般の勉強の仕方

理論化学は暗記は、他の2分野(無機化学、有機化学)よりは少ないですが、圧倒的に計算量は多いです。そのため、同じ問題集でも構いませんので、何度も計算、演習することが大事です。これによって、化学特有の計算も早くなると思います。そのため、解き方が分かったから、大丈夫だろうと思って、計算を放置するといったことはやめましょう。

幸い、理論化学は最初に学習する分野なので、受験までに触れる機会も多く、自然と演習量が積めます。

暗記は少ないですが、名前が「理論」となっているように、各分野、基礎的な理論がしっかりあるので、教科書等でそこの理解をしてから、問題集に取り組みましょう。東大化学の対策の記事でも述べましたが、教科書傍用(各理論が理解できているかが問われます)をしてから、入試用の問題集に進みましょう。

問題集を解いていて、知らない知識や、自分のミスの癖があれば、メモをとるようにはしましょう。別のノートを準備して、書き込んでいれば、テスト前など非常に見直しやすいものになると思います。

以下3分野に分けてどういった問題なのか、勉強するときの注意を説明していきたいと思います。

物質の構造

他の2分野に比べると、分量も少なく、比較的覚えるだけという感じです。しかし、化学の本当に基礎な内容で、ここが分からないと、その後の分野でつまづく恐れもあるので、しっかり取り組む必要があります。

内容としては、原子の構造、電子配置、イオンエネルギー、物質量、化学反応式、化学結合、電気陰性度が中心になります。

物質の構造は、単に構造の仕組み的なものを覚えるのは非常に大切ですが、実際に入試問題として問われるのは、なぜそのようになるのかという理由です。例えば、以下のような問題が考えられます。

カリウムイオンとカルシウムイオンでは、どちらの方がイオン半径が大きいか、答えとともに理由を述べよ

という問題です。

もし、本当に覚えるだけという方がいれば、周期表の右の方がイオン半径が小さいみたいなことを覚えると思います。解答するだけなら、カリウムイオンだと答えて終わりでしょう。ただ理由は?

多くの人が答えられると思いますが、理由は

いずれのイオンもアルゴンと同じ電子配置だが、カルシウムイオンはナトリウムイオンよりも陽子数が多く、原子核の正電荷が大きくなっていることによって、電子をより引きつけるために、カルシウムイオン方がイオン半径が小さくなり、カリウムイオンの方が大きくなるから。

少し長ったらしくなりますが、こんなもんでしょう。

では、次の問題です。

イオン化エネルギーは周期表の右上にいくほど大きくなる。この理由を述べよ

という問題です。

右上が大きいということは、覚えてくれていると思いますが、その理由は?これは先ほどの問題と繋がっていますね。理由は

同族では、周期表の下にいくほど、K殻、L殻、M殻の順に最外殻が大きくなっていくことで、半径が大きくなり、中心から引き寄せられる力が小さくなる。また、同周期では、左にいくほど陽子数が小さくなり、中心から引き寄せられる力が小さくなる。そのため、左下ほど、引き寄せられる力が小さく、右上ほど大きくなる。一方、イオン化エネルギーはイオン化するために、電子を引き離すために必要な力であるから、中心からの力が大きいほど、多くの力が必要となるから。

これも詳しく書くと、こんな感じです。

先ほどの問題の知識と、別の知識と、さらにイオン化エネルギーの定義まで分かって、初めて正解です。

長くなりましたが、ここで重要なのは、一つ一つの定義(イオン化エネルギって?逆に電子親和力は?)を覚えること、そしてここで求められていることはどういうことなのか言い換えることです。(ここでは、イオン半径が小さいとは、原子核から引き寄せられる力が大きいということです)

物質の構造という分野は、このように計算問題は少ない一方で、より基礎となる理論の理解とそれを記述する力が問われます。

目的を持たず、無為に問題演習をしても、身につかないと思うので、定義に戻って学習して行きましょう。

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物質の状態

3分野の中では、最も対策が取りにくい分野かなと思います。

内容としては、物質の三態、蒸気圧、気体の状態方程式、溶解度、浸透圧、コロイド溶液が中心になります。

とりわけ、暗記量が多いとか、計算量が多いといった分野ではないです。しかし、蒸気圧、気体の溶解度(ヘンリーの法則)は取っ付きにくくて、何となく問題解いてたら、できるようになるとかはないのかなと思います。最初に学習する時に、原理、定義を理解して置く必要があります。

物質の構造という分野が現象の理由の理解が重要としましたが、物質の状態は、問題文の状況の把握が求められます。

例えば、混合気体の問題を考えます。容器が2つコックで結ばれている問題とします。

冒頭でだいたい〜℃で〜Pa、〜℃で〜Paというように飽和蒸気圧が与えられたり、コックの開け閉め、2つの容器の温度がどうなのかといった条件が、各問題で変わります。こういった細かい条件を把握します。

次に、同じ温度だったらどうしたら良いのか?コックを開けて同じ気圧の時はどうしたら良いのか?ということを問題演習の段階で覚えるのが大事です。

このように、状態、条件の把握→よくあるパターンで解くというステップを身につけましょう。なんとなくで、問題を解くのは要注意というのはこのことです。

そのため、問題文が長くなったり、複数の状態が書かれていることが多いので、今自分が解いている問題がどの状態なのかを常にチェックしときましょう。

物質の反応

3分野で最も入試問題での、出題頻度が高く、花形です。

内容としては、反応熱(ヘスの法則)、反応速度と化学平衡、酸化還元、電離平衡、電気分解が中心になります。

花形である分、最も該当する量が多く、覚えること、計算量が多いです。ただ、入試では問題集レベルの内容が問われる、もしくは、それに準拠した内容であることが多く、問題集をなんども演習することが一番大事だと思います。もちろん基礎となる理論の理解が重要ですが、物質の構造や物質の状態に比べれば、問題演習で、型を覚えていくのが効率的です。

最初にも述べましたが、物質の反応は、それぞれのテーマが関わりあっているので、1つでもつまずいてしまうと、難しいなと思ってしまうかもしれません。

この分野は大きい流れが3つあると思います。反応熱、エネルギー→化学平衡と、酸化還元→電池、電気分解と、酸塩基になります。

反応熱、エネルギーでは、反応熱1つ1つの定義の理解と、エネルギー図での解き方さえ、マスターできればという感じです。
これを以ってエネルギーの正負で、反応の進行方向が変わるので、丁寧に解いていきましょう。

平衡は、理論化学の本当にメインですし、どこの大学のどの年の問題を取っても、1問は必ずや出でいるので、注意です。
反応速度や平衡定数は、式の形が似ているので区別していきましょう。

ほとんど計算問題しか出ませんが、唯一ルシャトリエの原理の理解は、共通テストでも出る可能性があるので、押さえておきましょう。

酸化還元→電池、電気分解は、理論化学で最も暗記に依存します。実際に問われるのは、計算問題であることが多いですが、式が分かっていないと、計算も全くできないので、最低限の暗記は必須です。

酸化剤、還元剤の式は、反応物と生成物をしっかり覚える(水、水素イオン、電子以外)ことで十分です。あとは、水で酸素の個数を合わせる、水の水素を含めて水素イオンの個数を合わせる、最後に電子で左右のプラスマイナスを合わせるだけです。

例えば、オゾンの酸化剤としての式だったら、酸素が生じることだけ覚えておきます。

右辺に酸素原子が1つ足りないので、右辺に水1分子を加えます。すると、左辺には、水素原子が2つ不足するので、左辺に水素イオンを2つ加えます。最後に左辺は、プラスが2つ余剰なので(水素イオン2つ分)、電子を2つ左辺に加えて打ち消します。

このような作業を1度は、全ての酸化剤、還元剤で練習しておきましょう。

電池に関しても、正極と負極での、反応物と生成物を覚えて、同じことをしましょう。

電気分解は、どの溶液かによって、電極が溶解することもあれば、溶液中のイオンが析出することもあるので、整理しておきましょう。

この分野は以上のように、暗記ベースで式さえ書ければ、計算はできるといった感じです。入試問題でも、そこまで応用の幅が小さいと言えます。

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理論化学は得点源?

ここまで読んでくれた方の中には、もしかしたら理論化学は簡単なのでは?と思う方もいると思います。

入試用の問題集も幅広い問題があげられています。そのおかげで、様々なパターンの練習ができますが、実際の入試とはいたちごっこな感じです。見たことのない問題はもちろん難関大学になるほど、多いです。だからと言って、点が取れない訳ではないです。

見たことない問題(初めてみるテーマ)の時は、もちろん大学側も正解にたどり着くためのヒントとして、誘導等で問題集で見たことあるような問題を出してくることが多いです。そのレベルでの問題をしっかり正解できれば、合格点です。

次回の記事で触れますが、理論化学は無機化学や有機化学に比べると、得点が取りにくいです。(最終問題が難しいことが多いです)これは計算問題が多いので、計算ミスが増えてしまうこと、先ほど述べたように、見たことのない問題が難しいというところに起因します。

そのため、理論化学の大問を解く時は、変に満点を取りに行こうとするよりは、解ける問題は解くという姿勢を大事にしましょう。

これは東大化学で強調したことですが、他大学でも当てはまると思います。

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まとめ

いかがでしょうか。具体的な対策は理論化学に関しては、基本の理論の理解→問題演習 しかないですが、理論化学について、詳しく解説してきました。以下、まとめです。

  • 物質の構造、状態、反応の3分野に分けることができる
  • 基礎の理論の理解→計算問題の演習が最重要
  • 物質の構造は、その構造になる理由の理解が要求される
  • 物質の状態は、問題文でその時々の状況、状態の把握が大切
  • 物質の反応は、計算問題中心だが、暗記もおろそかにせず、問題の型をしっかり覚える
  • 理論化学は満点をとるのではなく、取れるところを取る意識を持つ

今回を機に、理論化学に対する意識を新たにして、勉強を進めていきましょう!

次回は無機化学、有機化学について書いていきます!

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