共通テスト【地理】の傾向は?対策法を現役東大生が徹底解説!!

皆さんこんにちは!ポケット予備校です!

この記事では、2020年度から導入される「大学入学共通テスト」での科目「地理B」の傾向やその対策法について、現役東大生が解説します

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「共通テスト 地理B」はどんなテストなのか?

2020年を最後にセンター試験は廃止され、2021年からは「大学入学共通テスト」(以下「共通テスト」)へと移行します。受験生の皆さんは、この移行によって受験勉強のあり方がどのように変わっていくのかについて不安に思っていることでしょう。

「共通テストの地理ってどんなテストなの?」

「センター試験の地理とどこが違うの?」

こんな疑問を持っている受験生も多いようです。

結論から言うと、

共通テストの地理は、センター試験の地理とは本質的にはほとんど変わらない

のです。

選択肢問題(マーク式)である点はもちろん、試験で「図表を読み取って思考する力」が求められる点は二つの試験の間で共通しています。ですから、受験生の皆さんはそれほど心配することなく、これまで行ってきたような地理の対策法を行えばいい、というのが僕の感想です。

では、以下で詳しい「共通テスト」地理の傾向についてみていきましょう。

なお、「センター試験」「共通テスト」では、「地理A」「地理B」という二つの地理の科目が存在しますが、以下では受験生が多くポピュラーな「地理B」を念頭において話を進めます。

また、「共通テスト」はまだ一度も実施されていませんが、平成29年と平成30年に「試行調査(プレテスト)」なるものが行われ、「共通テスト」がどのような傾向であるかをここから見ることができるので、これを参考にしながら「共通テスト」の傾向について解説していきたいと思います。

平成30年のプレテストの問題はこちらから

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大問ごとの出題傾向

大問6つから構成されていた「センター試験」地理Bですが、「共通テスト」地理Bでは大問数が5つに変更されています。

以下の表では、平成31年度の「センター試験」地理Bと平成30年度の共通テスト「試行調査」地理Bで、大問数と大問ごとの出題内容を整理しています。

平成31年度「センター試験」平成30年実施「プレテスト」
大問1世界の自然環境世界の自然環境
大問2資源・産業資源・産業
大問3都市・村落世界の文化
大問4世界の諸地域(地中海)世界の諸地域(オセアニア)
大問5世界の諸地域(ウクライナ・ウズベキスタン)日本の地域調査(大分市)
大問6日本の地域調査(宮崎市)×

プレテストでは、大問1から大問3までが系統地理から、大問4と大問5が地誌から出題されており、この大問ごとの出題傾向はほとんどセンター試験から変化していません

豊富な資料を用いた出題形式

「共通テスト」で最も特徴的なのが、豊富な資料を用いた出題形式です。新しく導入される「共通テスト」では、ほとんどの小問で「グラフ」「写真」「図表」などの資料が与えられ、その資料を読み取って解答を導き出すことが求められています。もちろん「センター試験」でも図表を用いた問題は多くみられましたが、「共通テスト」では図表の量が大きく増加しているのです。

「資料の読み取り」と言われると、「問題も難化しているの?」と思う方もいるかもしれませんが、そんな心配は全くいりません。

「共通テスト」の本質は、「センター試験」とほとんど変わりません「必要最低限の地理的知識」を元に、「与えられた情報」を分析して「思考」することが求められるのが「共通テスト」です。むしろ、資料の読み取りとそれを分析する思考力さえあれば解けてしまう(極端に言えば地理的な知識すらいらない)ような問題も「共通テスト」には存在します。

では、共通テスト試行調査で実際に出題された問題を例に挙げながら、出題形式について具体的にみていきましょう。

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「共通テスト」の出題形式

ここからは平成30年のプレテストをもとに共通テストの出題形式を分析していきます。下のリンクから問題を見ながら読み進めてください。

平成30年 プレテスト 地理Bの問題

第1問 問1

「共通テスト」の特徴を端的に表したような問題です。二つの3D写真が与えられています。

空欄(ア)の単純さに驚いた方もいるかもしれません。単なる資料の読み取り問題です。一つ目の写真を見ると、島々は明らかに海岸線に沿って分布しています。ですから、ここは「平行」という言葉を入れれば良いのです。

また、空欄(イ)も、造山運動や増陸運動のような、地球内部で発生するエネルギーを元とした土地の活発な運動のことを「内的営力」、雨水の浸食のような、太陽エネルギーや重力が原動力となる運動を「外的営力」と呼ぶという基本的な地理的知識さえ知っていれば、容易に「外的」という言葉を入れることができます。

第3問 問2

「討論/話し合い形式」の問題は、「センター試験」でも試験的に導入されているものです。「共通テスト」を所管する文部科学省は、今回の一連の入試改革で「思考力」や「主体性」をより重視しするとしており、その一環で「共通テスト」にも「生徒間の討論」の形式をとった問題が出現すると考えられます。しかし、「問題の見た目」が変わっただけで、問題の本質が「基礎的な地理的知識を元に思考する」ことであるのは、先に述べたとおりです。

ここでは下線部を順番にみていき、適当でない記述が含まれているものを選べば正解です。「討論」という形はとっていますが、単純な誤文選択問題とほとんど変わりませんよね?

第3問 問6

この問題では、「基礎的な地理的知識」は必要とされません。シンプルに問題文を読んで思考する力が試されます。先ほどの問2と同様に、生徒の話し合いの会話文が示され、その穴埋めを行う問題です。

空欄(カ)の直前で「食文化の画一化」についての話題だということが読み取れるので、空欄(カ)にはそれにふさわしい「U:アメリカ合衆国の巨大企業が全国各地でハンバーガーショップを展開」を入れます。

空欄(キ)についても、文章を読むと「食文化の画一化」を裏付けるようなデータがどのようなものかを選べば良いので、各国でどのようなものが食べられているかがわかる「X:日本と欧米諸国の1人当たりカロリー摂取量とその内訳」を選べば良いとわかります。

第4問 問4

これも「共通テスト」らしい問題です

ポイントとなるのは、「表1」で示されている「太平洋島嶼国の旧宗主国または国際連合の信託統治の旧施政権国」の一覧です。かつて植民地支配を受けていた国は、今でも旧宗主国(かつて政治的支配を行っていた国)からの経済的影響を受けているということが連想できれば、この問題を解くことができます。

まず「オーストラリア」の旧植民地「パプアニューギニア」「ナウル」の二国です。この二国とオーストラリアは比較的強い関係を持っていると考えられます。選択肢の地図を見て、この二国に対して最も大きなODA供与を行っている「ク」をオーストラリアとして考えます。

次に「アメリカ合衆国」の旧植民地は「マーシャル諸島」「ミクロネシア連邦」「パラオ」の三国です。選択肢の地図を見て、この三国に対して最も大きなODA供与を行っている「キ」をアメリカ合衆国として考えます。

残った「カ」が日本です。

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共通テスト対策

これまで見てきたように、新しい「共通テスト」の本質は「センター試験」の時とほとんど変わりません。最低限の地理的知識を軸として、与えられた情報を分析する能力が必要とされるのが「共通テスト」なのです

したがって、共通テストのために何か特別な対策を行う必要は特にない、というのが僕の考えです。問題の見た目が変わって少し戸惑う受験生もいるかもしれませんが、「共通テスト」の本質を理解してこれまで通り基礎を大事にした学習を行えば、「共通テスト」でも高得点を狙えると思われます。

地理の勉強法については、別の記事【地理】1から実力を伸ばせる地理の勉強法を現役東大生が徹底解説にて詳しく紹介しているので、こちらもご覧ください。

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センター試験の過去問を活用

何度も述べているように、「共通テスト」は「センター試験」とほとんど本質が変わりません。まだ一度も「共通テスト」が行われていない以上、「センター試験」の過去問を解くのが一番の「共通テスト」対策といえるでしょう。

過去二回行われている「共通テスト試行調査」も、「共通テスト」の形式的な傾向を掴む上では有効でしょう。一度目を通しておきましょう。

各予備校の「共通テスト」模試を受験する

「共通テスト」導入を受け、有力予備校の各社が「共通テスト」型の模試を実施しています。まとめると次の通りです。

  • 駿台系「駿台共通テスト模試」「駿台プレ共通模試」「駿台・ベネッセ大学入学共通テスト模試」
  • 河合塾系「全統共通テスト模試」「全統プレ共通テスト」
  • 東進系「共通テスト本番レベル模試」「全国統一高校生テスト」
  • 代ゼミ系「大学入学共通テスト入試プレ」

これらの模試は、新しい「共通テスト」の出題形式に準拠した問題を出題しています。ですから、どうしても「共通テスト」の問題形式に慣れておきたい、という人は受験すると良いでしょう。

ただし、これらの模試を全て受験する必要はもちろんありません。まだ十分な力がついていないのに模試を受けすぎるのはかえって逆効果です。必要最低限回だけ受験して出題傾向・形式を捉えるにとどめ、基本的な地理の学習をメインに勉強することを心がけましょう。

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まとめ

この記事では、以下のようなことを述べてきました。

  • 「共通テスト」は、根本的には「センター試験」と変わらない
  • 基礎的な地理的知識と論理的思考力が必要になるのが「共通テスト」

この記事を参考にして、共通テストの対策を行っていきましょう!

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