【自然な発想で解ける!】2019年東大化学の解答例&徹底解説!【東大生の過去問解説】

こんにちは!ポケット予備校です!

今回は東大化学2019年2月実施の試験の、解答・解説、振り返りを行なっていきます

この年度は私も受験した年なので、かなり思い入れもあります!

問題はこちらから

2019年度 東大入試問題 化学 (東大HPに飛びます)

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全体の概観

実際に解いた当時の感覚を振り返ると、東大化学の中では、比較的解きやすい年度だったのではないかと思います。ただ、これはあくまで解きやすいというだけで、点が取りやすいという訳ではないと思います

細かいところでは、難しい問題もありますし、大問1は形式上分かれてはいませんが、実質内容は2つに分かれているものでしたので、全体としては6問構成で、少し量が多かったと思います。75分で解くには少し厳しいかと思ったので、化学が得意な人は十分な時間を費やして、高得点を、得意ではないという人は、全部を解こうとするのではなく、取りやすい問題をさらっと解いて、物理、生物に移ることが必要だったと思います。

大問1はかなり差がつく問題だと思いますが、大問2、3は基本的な問題が多く、高い得点が要求されますので、そこで差をつけられないということが必要になってきます。大問1の勝負にいかにしてもっていくかです。

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大問1

難易度

例年通り

概観

大問が2つに分かれてはいないですが、前半が構造決定の問題で、後半が高分子の問題となっています。

構造決定

実験に使う物質が分からない問題は、受け身ではなく、自分の有機の知識を活用する必要があるため、少しとっつきにくい問題だとは思います。問われている知識自体は、ベンゼン環の反応の基本的なものだとは思います。

途中で物質を間違えると、芋づる式に間違えてしまうので、かなり差がついてしまう問題ですので、少なくとも物質Eまで、正確に実験を追っていきたいところです

これは余談ですが、私は、Eが普通の6員環なのに、ベンゼン環だと思い込んで、後半の方をかなり落としてしまったと思います。見間違えには本当に注意しましょう。

高分子

フェノール樹脂については、高校化学の本当に最後の分野で、復習等がしっかりできているかでかなり差がついたと思います
クは高分子なので、2:3ならどんな形の高分子ができるのかと考えるのではなく、愚直の計算するだけの問題になっていて、難しい部類に入るとは思います。

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解答例・解説

実験1 ニトロ化ですね。A、Fはオルト位かパラ位だと考えられます。最終的な生成物がパラ位となっていて、実験3以降ではAが使われているので、Aがパラ位と考えましょう。

実験2 十分にとあるので、Gはニトロ基が3箇所にあると考えられます。(オルト位とパラ位)

実験3 アニリンの製法です。鉄は触媒で働いています。

実験4、5 生成物Eからも分かるように、カルボキシル基を含んでいると考えるのが無難でしょう。よって、Xは無水酢酸。4で生じたCが、最終的な生成物Eになることを考えると、Bのアミノ基のみが無水酢酸と反応していると考えられる。Hは塩化鉄(Ⅲ)を呈色していないことから、5ではフェノール基も無水酢酸と反応していると考えられます。

実験6 Yを入れた後に、希硫酸を入れると、酢酸が遊離します。ここは弱酸遊離です。Cはフェノール性でこちらも、弱酸なので、遊離していると考えられます。Hから、酢酸とCの2つに分かれているので、加水分解が起きたと判断します。加水分解に必要なので、Yは水酸化ナトリウムと考えます。Yを入れて、ナトリウム塩が生じています。

実験7 ここまで、ベンゼン環であるが、最終的に生成される物質がただの6員環であるので、水素の付加がどこかで必要なことは分かると思います。よってZは水素です。また、DはCに水素を付加したものです。

実験8 DからEにするために、酸化をしています。

上記の実験1参照。

上記の実験2参照。

上記の実験4、5参照。

エ 立体異性体:2

上記の実験7参照。Dは不斉炭素原子がありませんが、次のように2通り考えられます。

オ X:無水酢酸 Y:水酸化ナトリウム Z:水素

上記の実験参照。

カ Cはフェノール性水酸基を持ち、酸性を示すので、水酸化ナトリウムに溶解可能だが、Dはアルコール性水酸基を持ち、中性を示すので、水酸化ナトリウムには溶解できないから。

Dはベンゼン環に水素が付加されて、―OHがアルコール性になっているのに対して、Cはフェノール性であることに関係します。

フェノール性であるため、オルト位またはパラ位に、ホルムアルデヒド由来のメチル基が付きます。後は、同一のものを表さないように、回転等させて考えます。フェノール樹脂については、高分子の基本的なことですので、学習しておく必要があるでしょう。

ク 6.1

この問題は少し考えにくいかと思われます。キから分かるように、ホルムアルデヒド1分子から、水1分子が生じる。よって、フェー ル2n molとホルムアルデヒド3n molが完全に反応すると、3n molの水が生じる。故に、フェノール樹脂のC、H原子を物質量がわかります。C原子:6×2n+1×3n=15n[mol]、H原子:6×2n+2×3n―2×3n=12n[mol]となります。これが燃焼されるので、二酸化炭素は15n mol、水は6n molが生じる。よって、44×15n/18×6n=6.11

m-クレゾールはヒドロキシ基のオルト位とパラ位に置換基が存在しないので、3箇所の反応点を持ち、網目構造を持つことが可能だが、他のクレゾールだと、ヒドロキシ基のオルト位または、パラ位に置換基があり、2箇所しか反応点を持たず、網目構造を取ることができないから。

硬くなるということがどういうことかを考えましょう。高分子化合物が網目状になるということですから、モノマーに3つ以上の反応点を持つことが必要になってきます。3つのクレゾールの異性体は描けると思うので、それを参照に3つの反応点を持つものを選びましょう。

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大問2

難易度

やや易

概観

イは対称性に気づく必要があり、正答率は低いと思いますが、他は電池の基本的な知識、計算でかなり解きやすい問題ですこういった問題を完答するか否かが大きな差になってくると思います

Ⅱ 無機の陽イオンに関する問題ですが、初歩的問題が多いです。サのみ、あまり見慣れない問題で、状況を把握する必要が出てきますが、他は落とせません

総じてこの大問は、1〜2ミスで15点以上が目標になってきます

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解答例・解説

2Ca3(PO4)2→PO10+6CaO

P4O10+10C→P+10CO

無機の知識としては、比較的難しい化学反応式になりますが、合格点のためには落とせない問題です。問題文中に、ヒントとなる結果の反応式があるので、それに沿いましょう。リン酸カルシウムから十酸化四リン酸が出来て、十酸化四リン酸からリンが出来ることにさえ、気付ければ式は係数を合わせるだけです

化学図表などをよく見ていれば載っていますが、おそらくほとんどの受験生が初見でしょう。ポイントは無極性だということです。無極性ということは、PとOは対称な配置になると考えられます。加えて、十酸化四リンは、五酸化二リンと考えることが多く、対称性を考えるときも、五酸化二リンで考えることができれば良いと思います。

ウ 正極(A):O+4H+4e →2HO

負極(B):H→2H+2e

水素―酸素燃料電池の反応式は何度も書いてるはずなので、絶対に落とせません。正極は還元、負極で酸化は覚えましょう。

エ 4.8×10

生じた水のmolは分かりますから、Aの反応式の係数比から、電子の物質量を導きましょう。90×10/18=5.0×10、よって、電子の物質量は1.0×10molとなる。ここで、ファラデー定数を用いて、単位をCに変化させます。あとは、問題文のJ=CVより、Jを求めます。1.0×10×9.65×10×0.5=4.82×10J

オ 34%

水素の燃焼を表す式を考えると、H+1/2O=HO+286KJとなる。反応に関わった水素の物質量は、5.0×10molとウの式から分かるの、単位をJに直して、生じた燃焼熱は、5.0×10×286×10=1.43×109Jとなる。よって、エの値を用いて、4.82×10÷1.43×10×100=3.37×10

カ SO

固体Eに硫黄が含まれていないことから、気体Dには硫黄が含まれると分かる。よって、二酸化硫黄だと考えられる。

キ カリウム 理由:カリウムのイオン化傾向が鉄よりも大きいから。

金属が単体か、イオンかを考えるときは、イオン化傾向に注目します。イオン化傾向の順番に注目した時、ニッケル、スズ、鉛は鉄と銅の間にあるので、問題文の条件を満たすが、カリウムの場合は、鉄よりもイオン化傾向が大きくなってしまうので、条件を満たさなくなる

ク アンモニア水

銅では、沈殿を作らないが、鉄では、沈殿を作るものを考えれば良い。

ケ  Fe(OH)3

塩基性であるので、水酸化物の沈殿になると考えることができる。

コ 0.38mol

Fe2O3とメタンから、鉄単体と、二酸化炭素と水が生成されることを式にすれば良い。この化学反応式の係数を求めるのは少し手間取った。4Fe2O3+3CH→8Fe+3CO+6HO
あとは、係数の比から、必要なメタンの量が分かる。

サ 6.08g/L

与えられた電気量から、電解精錬で使われた電子量がわかります。3.96×10/9.65×10=4.103mol
銅とニッケルのみが単体として生じるので、4.103molのうち94:5で電子が使われる。Ni2+2e→Niとなるから、次のようになる。58.7×4.103/2×5/94+5=6.081(g)

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大問3

難易度

概観

Ⅰ酸化還元の式が書けますか?その式を以って計算が出来ますか?という問題です。エまでは一度は解いたことあるような問題ではないかと思われます。オは東大らしい見たことがないような問題で、何をしたらいいのかなという風に思ってしまいます。エまではぜひ取っておきたい問題です

Ⅱ結晶構造の問題は、東大もほぼ毎年1問は出る感じなのですが、大問の半分を使って出題されているのは、ほぼないのではないかと思われます。内容としては、未知の物質であれど、結晶格子の個数の数え方が分かれば、前半は正解でき、後半は少し計算が面倒ですが、やることは自明なので、得点はしておきたい問題です

大問2と同じく、全体でミスは1〜2に抑えて、15点以上を目標としたいところです

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解答例・解説

ア I2+2Na2S2O3→2NaI+Na2S4O6

酸化還元のそれぞれの式を書いてから、考える。酸化、還元はどの物質がどの物質に変化するかをしっかり覚えましょう。
2SO2−→SO2−+2e        I+2e→2I‥①
両式を足し合わせて、4Naを加えて、整理する

イ H2S+I→2HI+S

硫化鉄(Ⅱ)に希硫酸を加えると、硫化水素が発生します。これが酸化還元の式となるときは、HS→S+2H+2eとなる。これと①を足し合わせると、答えになります。酸化数も答えなければならないので、忘れないようにしましょう。

ウ 3.14×10−2mol

簡単な酸化還元の問題です。実験1の冒頭の部分に注目しましょう。Bを希釈したもの濃度をxとする。
x×100/1000×2=0.100×15.7/1000
よって、x=7.85×10−3となる。希釈したものは1Lなので、希釈したものに含まれるヨウ素はxである。これが、Bの250mLに含まれているので、x×1000/250=3.14×10−2molとなります

エ 2.75×10−3mol

実験2に沿えばこれも簡単な酸化還元の問題です。イより、反応した硫化水素と必要なヨウ素の物質量は等しいので、これをyと置く。よって、(x−y)×100/1000×2=0.100×10.2/1000
xがわかっているので、これを解いて、yが導かれる。

オ (2)  理由:以下の解説と同様

滴下量はエまでで見てきたように、計算可能なので、文字を置いて計算するのが最も有効だと思います。チオ硫酸ナトリウム水溶液の濃度をc[mol/L]、実験1での滴下量をx、実験2での滴下量をyとする。硫化水素を吸収する前のヨウ素の物質量は、c×x/1000×1000/100×1/2=5.00×10−3cx[mol]。同様の計算なので、吸収後の5.00×10−3cy[mol]となる。よって、吸収された硫化水素の物質量はn=5.00×10−3c(x―y)
測定値の誤差は(x―y)から生じるので、cに注目したら良いことが分かる

カ MAMBX3

立方体の頂点は球の1/8、辺の真ん中は球の1/4、立方体の中心は球の1個分です。これに基づいて、各イオンの個数を計測します。

キ MA:12 MB:6

位数とは、陽イオンなら陰イオン、陰イオンなら陽イオンの中で、一番距離の近いものの個数である。

ク 面心立方格子

一見分かりにくいですが、ずらして見ると、面心立方格子だということが分かります

ケ MBZ、塩化ナトリウム

立方体の面の中心は球の1/2個分であることに注意して、カと同様に各イオンの個数を計測します。

コ Sr2:0.136nm     Ti4+:0.056nm

MBとXは立方体の1辺上で接していて、MAとXは立方体の斜めの辺で接している。これらから、2(MB+X)=0.391、2(MA+X)=0.391×1.41
Xは与えられているので、これを解く。

サ Ca2とZr4+、CsとTa5 、La3とFe3+

カより、マイナスの価数は6であるから、プラスの価数の合計も6となれば良い。MAとMBはそれぞれ1個ずつなので、合わせて6になるように注意する。

シ La3とFe3+   理由:MAとXが接し、MBとXが接するとき、u=√2となることが分かるので、サで解答したイオンの組み合わせを考えるとLa3とFe3+の時が、1.35で、√2に近いから。

コの2式より、u=√2になれば、安定と言える。あとは、面倒だが、サの組み合わせの値を計算して、最も近くなるものを選べば良い。

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