【自然な発想で解ける!】2019年東大古文の解答例&徹底解説!【東大生の過去問解説】

この記事では、2019年度入試の東大古文について、現役東大生が解説を行います

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2019年度東大古文の講評

2019年度の東大入試「古文」の出典は闌更『誹諧世説』です。江戸時代後期の俳人の作品であり、大学入試でこの作品が出題される頻度はそこまで高くありません。

この年度の古文の難易度ですが、

例年と比べて極めて易化

しています。もともと、江戸時代(近世)の古文は平安時代(中古)の古文と比べて文章読解の難易度は低いことが知られます。それは、江戸時代ごろになると、単語の用法が現代に似ていることが多く、受験生が容易に文章の意味を理解できるからです。今回の東大古文もその傾向が顕著で、ここ十数年でも例を見ないほどに易しい問題となっています

ただ、易しいと言っても、記述で必要とされるポイントを抜かしてしまうと、思いもかけない失点を犯してしまい、他の受験生と差が付けられてしまいます。また、当該年度は漢文の難易度が非常に高く、古文をできるかぎり早く片付けないと漢文に回せる時間が減ってしまった、という事態にもなりかねませんでした。

これらのことから、限られた時間内に基本に忠実に記述ポイントを抑えていくことが求められたのが2019年度の東大古文だと言えるでしょう。

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本文の要約

嵐雪の妻は飼い猫を愛し、この上ないほどの世話を施したが、友人らに煩わしく思われることを懸念した嵐雪は、ある日妻が外出した隙に家から猫を連れ出して隠し、猫を飼うのをやめさせようとした。帰宅した妻に、猫が逃げ出してしまったと伝えると、妻は尋常でない悲しみようで、ついには体調を崩してしまった。

さて、嵐雪の企てを聞き出した隣人がおり、嵐雪の妻に猫が無事であることを伝えた。怒った妻がそのことについて嵐雪を問い詰めると、二人の間で口論になってしまった。結局妻が詫び、猫も家に戻って何事もなくなった。

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設問の解説・解答

解答

ア:鬱陶しく思う人もいるだろうと

イ:限度があるべきことだ

カ:ばれてしまった以上は仕方なく

解説

傍線部ア・イ・カを現代語訳する問題。各傍線部とも訳すのに注意が必要な古文単語があり、それを文章の流れに合うようにうまく現代語訳する

傍線部ア。「うるさく」は形容詞「うるさし」の連用形。古文単語「うるさし」は第一義に「鬱陶しい・煩わしい」という意味がある。嵐雪の妻の飼い猫に対する寵愛に対して友人たちのなかに「鬱陶しく」思う者もいるだろう、というように文脈に合致しており、この訳し方の方針で良いと確認できる。なお、「あらん」はラ変動詞「あり」の連体形と推量の助動詞「む」の撥音便化からなり、「あるだろう」の意味。

傍線部イ。ポイントは「程」。この古文単語は、時間や場所、物事の程度など、幅広い意味を持つことで知られる。ここでは、妻の猫へのあまりの愛しようを好ましくなく思った嵐雪が妻に「獣を愛するにも、(傍線部)」と言葉をかけている場面なので、「物事の程度」の意味で考えるのがよい。ここではさらにうまく言い換えを行い「限度」と訳す。助動詞「べき」は、強い確信を持った適当の意味(「〜べきだ」)でそのまま訳す。

傍線部カ。飼い猫を遠くに隠してしまうという嵐雪の企みが妻にばれてしまう、という場面である。「あらはれたる」は動詞「あらはる」連用形と助動詞「たり」連体形からなる。「あらはる」は漢字で「顕る」と書き、「出現する」「隠していることが人に知られる」という意味があるが、その意味を知らなくても、文脈から意味を推測するのは難しくはないはずだ。また、「是非なく」は形容詞「是非なし」の連用形である。これは「どうしようもない」という意味の重要単語である。以上を組み合わせて現代語訳する。

解答

猫が行くはずのないところまで、妻は猫を探したけれども

解説

言葉を補いながら傍線部の現代語訳を行う問題。文章をそのまま訳すのはそれほど難しくはない。傍線部内には「行く」「尋ね」という二つの動詞があるが、この二つの動詞について、問題の指示通り主語と目的語を補うことを考えればよい。

この場面では、猫が家から消えてしまったことに対して、猫を愛しんでいた妻が悲しむ場面なので、まずは「尋ね」を「(妻が)(猫を)探して」くらいに訳す。また「行く」の主語は、家からいなくなってしまった猫だとわかる。「まじき」は助動詞「まじ」の連体形で、ここでは「〜はずがない」という打消推量の意味である。

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解答

自分が知らせたとは言わず、猫が隠されているところへ猫を取り返しに人を派遣せよ、といっている

解説

問題の指示は「隣家の内室はどうせよといっているのか、説明せよ」だが、傍線部エが示されていることから、実質的には傍線部エの内容を説明する問題だといえる。

まずは傍線部エを訳す。「我が知らせしとなく」の「が」は主語を示す助詞、「し」は過去を表す助動詞「き」の連体形なので、「私が知らせたとは言わず」と訳す。「何町、何方」では、詳しい住所がぼやかされていると考える。「どこどこ町のどこどこ」程度の意味。「取り返し」の目的語は補っておいた方がよいだろう。ここではもちろん猫。「遣はし給へ」は「人を派遣なされよ」程度に訳す。以上から現代語訳は「私が知らせたとは言わず、どこどこへ猫を取り返しに人を派遣しなされよ」となる。

さて、以上で傍線部の現代語訳が終了し意味が理解できたが、問題の指示はあくまで傍線部の内容説明であるので、現代語訳から修正が必要だ。例えば、会話調の主語である「私は」や、敬語の「〜なされよ」の部分は、現代語訳では必要だが、内容説明では必要ないので除く。また、内容がわかりやすいように、「どこどこ」を「猫が隠されているところ」とすればよい。

解答

自分で猫を他の場所に隠していながら、妻には猫の居場所がわからなくなったと言ってだました。

解説

傍線部オを踏まえて、嵐雪が妻をどうだましたのかを説明する問題。

傍線部オは現代語訳すると「そうすると、私をだまして行ったことなのか」、となる。問題文にあるように、これは嵐雪が妻をだまして猫を隠したことを意味する。この傍線部までで、嵐雪が妻をだました一連の騒動が描写されているので、傍線部以前の本文の内容をまとめればよい。ただし、解答欄は一行しかないので、簡潔に要点を押さえて書こう

解答

猫には似つかわしくない布団や器を使い、忌日にも生魚を与える、猫への尋常でない愛し様。

解説

妻がどのような「愛し様」であったかを説明する問題。妻の「愛し様」とは、もちろん妻がどの様に猫を愛していたのか、ということだ。そして、妻が猫を愛する様子は本文の第一文・第一段落の嵐雪の台詞「獣を愛するにも…よからぬこと」で説明されている。これを訳して整理すればよい。

具体的には、「美しい布団を敷かせている」「食べ物を特別な器にいれる」「忌日にも生魚を与える」である。

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