【地理】1から実力を伸ばせる地理の勉強法を現役東大生が徹底解説

みなさんこんにちは!

「地理覚えること多いよなあ」
「どう勉強したらいいんだろう?」

そんな悩みを持つ受験生も多いでしょう。そこで、今回は東大生の私が、地理の勉強方法について解説します!

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地理の特徴

皆さんは地理という科目に対してどのような印象をお持ちですか? 「範囲が広い…」「覚えることが多そう…」このような印象をお持ちの方は多いかもしれません。しかし、実は地理はそれほど暗記が必要なく、むしろ問題で与えられた条件やグラフ、表などを分析する能力が求められる科目なのです。 私は、一口に「地理」といっても、問題を2つのタイプに大別されると考えます。

1. 暗記力が求められる問題

地理用語を答える単答問題や選択肢問題です。この問題で要求されるのは単純な暗記力。私大の入試問題がこのような形態をとることが多いです。

2. 情報分析能力が求められる問題

一方、センター試験や、東大などの難関国公立大の入試で出題されるのがこのタイプの問題です。もちろん、問題を解く上で前提となる地理的知識が必要なこともありますが、グラフや表を分析して出題者の意図を読み取り、適切な答えを導くという点では単純な暗記とは大きく異なります。

よく言われることですが、地理は日本史や世界史などの他の社会の科目と比べてそれほど暗記は必要ありません。このことは特にセンター試験や東大入試で顕著です。センター試験や国公立大入試で地理を使うことを考えている方は特に、最低限の地理的知識を元に地理的思考力を働かせる訓練が必要です。

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勉強の流れ

では、地理の勉強をどのように進めれば良いのでしょうか?

私の考えでは、大まかに勉強のステップを3つに分けることができると思います。

  1.  系統地理/地誌の基礎固め
  2. センター試験対策
  3. 記述対策(必要な方のみ)

では、次の章からそれぞれ詳しく見ていきます。

系統地理/地誌の基礎固め

地理は系統地理と地誌に大別できる

「系統地理って何?」「地誌って何?」と思われた方もいるかもしれません。実は、受験地理の勉強すべき範囲は、系統地理と地誌というものに分けることができます。

系統地理とは、「地理的事象を『気候』『地形』『工業』『農業』といった様々なトピックごとにみていく」こと

一方地誌は、「アジアやヨーロッパ、北米といった地球上の各地域について系統地理のあり方をみていく」ことです。

系統地理で習った普遍的な事象を、地誌で再び具体的にみていく、というイメージですね。

例えば、系統地理では「ケスタ地形はどのように形成され、どのような地形的特徴を持つのか」「ビール産業は大都市近郊に立地する」といったことを学習しますし、地誌では「ウラル山脈はヨーロッパとアジアを地理的に分ける、古期造山帯の山脈である」「アメリカ合衆国南部はサンベルトと呼ばれ、先端技術産業が盛んである」といった具体的事象を学びます。

前述した通り、地理は暗記量が歴史に少ない科目です。とは言え最低限の地理的知識は必要です。まずは系統地理/地誌の基礎事項を勉強しつつ知識をインプットしていきます。 その際、無理に単語を暗記する必要はありません。単語を聞いた時にざっくりと説明できるレベルの理解で結構です。

地理に関しては、教科書を読むよりもセンター用参考書を読む方が圧倒的に知識吸収のコスパが良いです。センター用参考書については、あとの「おすすめ参考書」の章でいくつかの参考書を紹介しています。センター用参考書を何周か読めば、センターに最低限必要な知識は十分頭に入ると思います。

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統計集・地図帳は必携!

さて、地理の基礎固めを行う時に皆さんにぜひ持っていただきたい物があります。それは「統計集」、そして「地図帳」です。これらは地理の学習に絶対に必要です。

例えば、系統地理で石炭について学習したとします。石炭は、シダ植物による大森林が形成された石炭紀を含む古生代に造山運動を受け、現在採掘された物だとされています。つまり、古期造山帯に世界の大炭田は多いということです。このことを、統計集で確かめてみましょう。2015 年の石炭の埋蔵量のランキングを見ると、

1 位 アメリカ合衆国

2 位 中国

3 位 インド

4 位 ロシア

5 位 オーストラリア

6 位 南アフリカ

となっています。このうち1 位のアメリカ合衆国、4 位のロシア、5 位のオーストラリア、6 位の南アフリカはそれぞれアパラチア山脈、ウラル山脈、グレートディバイディング山脈、ドラケンスバーグ山脈という古期造山帯の有名な大山脈を持っています(2 位の中国と3 位のインドにも古期造山帯が存在します。ただしその名称はそれほど重要ではありません)。この統計を見ると、改めて石炭が古期造山帯で産出されることがわかると思います。

また、今紹介した国や古期造山帯がわからない時には地図帳をみて位置を把握しましょう。巻末の索引で知らない地名を探して、該当ページで位置を確認します。ただ単に「アパラチア山脈」「ウラル山脈」という単語としてだけで覚えると効率がよくありませんし、何より勉強が退屈になってしまいます。初めて知った地名が出てきたときは、地理的な位置も一緒に覚えてしまった方がお得です。

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共通テスト試験対策

共通テスト対策=二次試験対策!

センター試験の過去問を解くことが重要です。22 年度からセンター試験が廃止され共通試験が導入されますが、試験問題で試される本質は変わりません。

実はセンター試験の過去問を解くことは、センター対策のみならず二次試験の記述問題対策にもなります

後述しますが、地理は問題集の数が世界史や日本史などと比べて少なく、論述用の知識、思考力を、得るのに苦労します。センター地理は基本的な知識をもとに表やグラフを分析する力が求められているので、センターの過去問を解きまくることを通して自動的に二次試験の論述で試される思考力を育てたり新たな知識を仕入れることができます

年度の古いセンター過去問は解かない!

さて、センター試験の過去問を解くに当たって、皆さんに気をつけていただきたいことがあります。

それは、「年度が古いセンター試験は解かない」ことです。

これは本当に気をつけていただきたい。僕も10 年以上古い問題は解かないようにしていました。

というのも、センター試験で使われる地理的統計は年々変化していくからです。センター試験ではよく「世界の国別〇〇(農作物)の生産量」や「世界の国別〇〇(天然資源)の採掘量」「国別人口」といった地理的統計が引用されて問題が出題されます。あまりに年度が古い問題には統計の様子が現在とすっかり変わっているものもあるため、間違った知識を得てしまう危険性が高いのです。

ですから、10 年前の問題を目安に、あまりに古い年度の過去問は解かないようにしましょう。

さて、10 年以上前の過去問を僕は解かなかったわけですが、その過去問演習量の不足を僕はセンター追試の過去問を解くことで補っていました。センター追試はセンター本試と全く同じ形式なので、演習の材料としては文句ありません!

センター試験の過去問は、教学社の「赤本」と河合塾の「黒本」が有名ですが、このうち「黒本」は「赤本」に比べて古い年度の問題を削った分近年のセンター追試の過去問を多く収録しています。ですから、僕としては「黒本」の購入をおすすめします。

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記述対策(必要な方のみ)

二次試験で記述問題の出題がメインとなる大学は国公立大学がほとんどだと思われ るので、以下国公立大の地理対策を念頭に話を進めていきます。

前述したように、記述対策が必要な方もまずはセンター試験の過去問をしっかりと解くことをおすすめします。そもそも、地理の問題集は世界史や日本史の問題集と比べ圧倒的に数が少ないことが実情です(論述対策の地理の問題集となるとさらに数は限られてきます)。

共通テストで必要となる地理的知識は二次試験で必要な知識と大きくかぶっているので、センターの過去問を解くことは地理的知識の貴重な情報源となります。何より、センター試験で必要とされる、図表やグラフ、地形図などから様々な情報を読み取る能力は二次試験でも要求される力なので、まずはセンター対策をしっかり行いましょう。

センター対策が一通り終わったと感じた方は、いよいよ二次試験の論述対策に移ります。地理の論述対策の問題集というものは現状かなり数が限られていますが、その中でも優れたものを次章の「おすすめ参考書」で紹介しています。

地理論述対策のコツ

さて、ここでは地理の論述対策を行う上でのヒントをいくつか紹介しましょう。

得た知識を集約する

僕は、知識の集約用の資料集として「地理の研究」という本を使っており(後の章で詳しく紹介します)、模試や問題集、過去問などで自分の知らなかった知識に出会ったときは、それを「地理の研究」の余白に書き写していました。例えば、僕は「デンマークで風力発電が盛んな理由は、デンマークが偏西風の影響を受けやすく、国土が低地であるからだ」という事実をある問題を解いて知ったことがあります。僕はこの事実が論述のネタになると思ったので、「地理の研究」の「風力エネルギー」のページの余白にすぐに書き写しました。

ただ漫然と問題を解いて解答を読むだけよりも、得た知識を手を動かしながら書き写し一つに集約させた方が、記憶が定着しやすく、漏れなく情報を体系化できるのでおすすめです。集約のさせかたは、僕のように資料集の余白に情報を書き加えていくという形でも構いませんし、自分でまとめノートを作るという形でも大丈夫です。実際僕の受験した東京大学の過去問を見ると、問われ方は異なるものの答えの本質が同じ問題が何度も出題されていることがわかると思います。過去問で得た知識を集約し、何度も見返すといった対策を行えば、本番で同じような問題が出題されても簡単に答えられるでしょう。

時事問題対策

地理の入試問題では、その時々に話題となったトピックに関する問題、いわゆる「時事問題」が出題されることがあります。例えば東京大学の入試問題では2011 年に「レアメタル」、2017 年に「PM2.5」に関する問題が出題されています。時事問題は、日頃ニュースを見たり新聞を読んでいれば簡単に答えが導ける問題が多いです。皆さんも、身の回りの日々のニュースにアンテナをはるようにしましょう。

地理で頻出の「年代」を把握しておく

地理の論述問題では、統計などを伴いながら「19X X 年代に〇〇〇〇であるのはなぜか」などというように、年代を絡めた問い方をする問題があります。このような問題を解く際は、歴史的な背景を予め知っている方が有利になります。それでは、地理の問題で問われやすい年代をいくつか紹介しましょう。

凡例 : 19XX年 その頃起こった出来事(→その結果起こったこと) 1950−60年代 高度経済成長(→地方から都市へ若者の流入)

1970 年代 減反政策本格化(→コメの生産量および消費量減少)

1970 年代 200 海里体制本格化(→日本の漁獲量減少へ)

1973 年 石油危機(→産業界で省エネ進む)

1985 年 プラザ合意で円高が急激にすすむ(→日本企業の海外進出、産業の空洞化)

1990 年代前半 ヨーロッパ市場統合、EU成立(→ヨーロッパ域内での貿易増加)

1997 年 アジア通貨危機(→アジア諸国の景気一時的に低迷)

1990 年前後 バブル景気(→都心部地価高騰でドーナツ化現象)

2001 年 同時多発テロ / 2003 年 イラク戦争、SARS流行(→日本人の海外旅行者、一時的に低迷)

2011 年 東日本大震災(→日本、天然資源輸入増加により貿易赤字へ)

志望校の問題傾向を把握する

地理の出題形式は、大学によって大きく異なります。例えば、東京大学では単答形式の問題(記号問題含む)および30〜90 字の比較的短い論述問題がほとんどですが、逆に筑波大学のように400〜600字の文字数の多い論述問題数題のみで構成される大学も存在します。

どのような形式の問題でも問われていることの本質は変わりませんが、やはり問題の問われ方によって答え方の異なる訓練が必要ですので、できるだけ早く自分の志望校の出題形式を確認して、問題の答え方のイメージを持っておくと良いと思います。

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おすすめ参考書

山岡の地理B 教室商品名

どんな参考書? part1・part2の二冊からなり、地理の基本の基本を学べる

おすすめポイント

・わかりやすい講義形式で地理の基礎を定着させる

堅苦しい文体で書かれている教科書とは異なり、この参考書は講義形式の語りかける文体で書かれており、講義を受けているような感覚でスラスラと知識を吸収できるように工夫されています。

どんな人におすすめ?

初めて地理を勉強する人

おすすめ度

★★★

 

データブック オブ・ザ・ワールド 2020: 世界各国要覧と最新統計

どんな参考書?

様々な地理的最新統計が掲載されている

おすすめポイント

・最新統計がチェック可能

地理の基本知識を定着させる段階では、統計集を参照することがとても重要になります。

どんな人におすすめ?

初めて地理を学習する人

おすすめ度

★★★★★

新詳高等地図

どんな参考書?

地理学習に適した、工夫でいっぱいの地図帳

おすすめポイント

・見やすい色使い、レイアウト

初期の地理学習では、地図を参照しながら知らない地名を確認することが重要です。この地図帳は色使い、レイアウトに優れ、大変使いやすくなっています。また、気候区分や資源に関する地図も掲載されており、地理学習には最適です。

どんな人におすすめ?

初めて地理を学習する人

おすすめ度

★★★★★

実力をつける地理100題

どんな参考書?

私大入試レベルの様々な形式の問題を掲載。

おすすめポイント

・難関私大レベルの、実戦的な問題演習が可能。

早慶やMARCH など、難関私大の世界史の試験では、様々な形式の問題が出題されます。この参考書では、空欄単語補充や正誤問題、地図問題、誤文選択問題など、様々な形式の問題が掲載されているので、実戦的な問題に対峙する実力を身に付けることができます。

どんな人におすすめ?

基本的な知識の定着を終えた人 難関私大の受験を考えている人

おすすめ度

★★★

納得できる地理論述

どんな参考書?

難関国公立大レベルの論述問題を数多く掲載

おすすめポイント

・レベルの高い論述問題演習が可能

どんな人におすすめ?

難関国公立大志望者で、論述問題への実力を高めたい人

おすすめ度

★★★★★

まとめ

ここまで、地理の勉強法やおすすめの参考書について紹介してきました。

これまで述べてきたように、地理は暗記科目というよりも、与えられたデータを読み取って自分の持つ最低限の地理的知識を参照しつつ答えを導く科目と言えます。そして、データを読み取る地理的思考力は様々な問題に触れることで鍛えることができる能力なのです。皆さんもぜひこの記事を参考にして地理の実力を上げていきましょう!

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