こんにちは!ポケット予備校です!
今回は入試に向けての物理の対策です。理系の受験生の中でも物理が苦手という方も多いかもしれません。実は筆者もそうでした。ここでは入試対策としてやっておいて良かったこと、さらにはこれもしておけば良かったと今振り返って思うことも書いていきたいと思います。
教科書
以前の東大物理の記事でも書いたと思いますが、様々な予備校テキストや参考書が出回っているなかでもやはり教科書は一番重要です。物理の問題を解く上で公式は欠かせません。
しかしそれだけではなくその公式がなぜ成り立つかを理解しておかなければ公式を覚えたところで意味がないと言っても良いでしょう。特に難関校の入試ともなると公式や法則の当てはめだけで問題が解けたり合格を手にしたりする事はまずありませんし、逆に公式を本質的に理解した上でそれを見た通りに表すような典型的な実験や現象にとらわれないような柔軟な応用がカギを握ります。
そのような大学を受験しようと考えている高校生にも早々に高いレベルが求められる訳ではありませんが、しっかりとした基礎が入試直前に大きく活きてきます。
さらに、高校物理における公式の数は一見少なく感じるかもしれませんが改めて全体を振り返ると意外にもかなりの量になります。それを列挙してひたすら暗記するのは労力が費やされる割に表面的なものにしかなりませんが、教科書をしっかり読むことで1つの分野の中での公式の関連やさらには分野間に通ずる物理的概念が見えくるのでその方がかえって近道だと言えるでしょう。
暗記するのではなく理解することを心がけてみてください。
ここでいくつか注意があるのですが、1点目に、まずすべて読み通すことをおすすめします。自分が得意だと感じている分野も理解が足りていない部分が見えてくるかもしれませんし、読んでいる最中その時は気にも留めなかったようなフレーズが別の分野で理解を助けてくれる可能性があるからです。
2点目に、誤解して欲しくないのが公式の暗記が不必要という意味ではないということです。むしろそこに登場する文字にはそれぞれに対応する意味があるので表記に忠実に活用するべきであり、そこに注意を払うことで文字式ばかりの問題を解く際に(質量は概ねmなどといった)適切な使用法にのっとって解答をかけたり、その解説を読むときに意味を早めに理解しておくことで読みやすくなったり読解ミスが減ったりするからです。
参考書については、教科書の理解を助けるものであれば自分の読みやすいと感じるものを積極的に使うといいと思います。ただし、その多くは感覚的な理解を助けるものであって必ずしも本質を突く解説ばかりとは限らないということ、また教科書の内容を全てカバーしているとも限らないということには留意すべきであり、学習の軸はあくまで教科書としましょう。
問題集
入試問題は教科書の内容から出題されるとはいっても何ひとつ問題を解かずにそこに臨むわけにはいきませんよね。そこで問題集が必要になるのですが、ポイントとしてはまずは焦らず簡単な問題から解いていくということです。
というのも、物理の問題は数値計算の問題と文字式の問題にはっきりと大別され、後者が本番の入試を含め多く見かけられる上にやや難しいためそちらを急いでトレーニングしようと考えてしまうかもしれませんが、やはり最初は数値計算を伴う具体的で比較的解きやすい問題を通して公式や法則の感覚的な理解を深めることが重要です。
解く問題数はそれほど多くこなす必要はありませんし、そもそもどんな問題集においてもこのような問題が占める割合は小さいと思いますからその程度で十分です。早とちりせずにこのステップを踏んでおけば文字式だらけの応用的な問題にも立ち向かうことができます。
また、学習の方法ですが物理でも他の科目と同じようにいくつかの分野が扱われますが最初から入試問題が解けるほど極めようとする必要はありません。入試を迎えるまでに何冊かの問題集を経る受験生が多いでしょう。
少なくとも最初に使う問題集ではひとまずある程度のレベルで高校物理全体をカバーし、俯瞰できることを目標にすることをおすすめします。入学試験では受験生がどれだけ物理を理解しているのかをたった数問で問わなければなりません。ということは分野横断的な要素を含む問題も多いということです。
だから、入試が近づくにつれいろいろな大学の過去問を多く解くようになり、最終的には自分の志望校に特化していくことを考慮すればまずは浅くとも広い運用能力を身につけておくと良いでしょう。
問題集は手にとってみて解説のわかりやすいものを選ぶと良いです。特に物理では微分積分を多用した解説が時々見られますがそんな解き方を身につけなくても筆者のように合格はできますし、時期が進んでやたら難しいレベルを求めるよりは過去問演習の方が有効ですので身につきやすいものが一番です。
そして、間違えた問題は必ずチェックをつけておくべきです。特にケアレスミスであればそれを残しておくのは初めは辛いかもしれません。ただ、分野を絞った普段の定期テストならまだしも模擬試験や過去問の直前となると他の科目との兼ね合いもあるでしょうし物理の教科書や問題集を全て振り返る余裕はありません。
そこで、そのようなチェックが自分はどこを見直したらよいのかを示してくれるのです。試験直前の効率を考えればなぜ間違えたのか、あるいはその問題でどんな新しい盲点や知見を得たのかまで簡単に普段からメモしておくとさらに良いでしょう。
受験生の皆さんの周りでは「◯◯の問題集を何周した」などという話がよく出てくるかもしれません。確かに問題集を一周することは、解いていない問題があると後々不安になるので大切なことです。
ただ、問題は暗記するものではないので必ずしも二周三周と繰り返し解くべきかどうかは一概にはわかりません。もちろん難しいけれども理解を深めてくれる良問は何回か解くのもいいかもしれませんが、基本的には一度解いた問題、特に間違えた問題に関しては上に書いたようなメモが復習の際に再び解くのと同じ効果を持ちますから自分が最も効果を上げられると思うならば決して他人と同じ方法をとる必要はないことはここで保証します。
さらに重要なことは不安に迫られてたくさんの問題集に手を出したあげく全てはこなせなかったという結果に陥るのは一番避けるべきということ。解いた問題の数や問題集の冊数の多さではなくその経済性、有効性を念頭に置いておきたいところです。
模擬試験
受験生であれば年に数回模擬試験を受けるでしょう。当然良い結果を目指したいですしそれが出たら嬉しく、うまくいかなければ落ち込んでしまうかもしれません。ただ、ここではそれに限らない模擬試験の活用法について説明していきます。
志望校の出題形式を模したタイプのものを受けるのは多くの人の場合高3の夏頃からではないでしょうか。おそらく高2までに受ける模試は全員共通だと思います。ただしそれを受ける意味も大きいです。
まず、物理を含め理科の試験は概して時間との勝負になります。ですから自分がスピーディーに解ける分野と時間のかかってしまう分野、あるいは理科のもうひとつの科目との時間配分を知っておくと役に立ちます。
また、定期試験とは異なり入試本番の雰囲気を多少なりとも知るための試験である以上、時間が足りなかったり難しすぎたりして解けない問題が存在すること自体は仕方のないことですし、よほど得意でない限り誰しもあります。
模擬試験では問題を捨てるのもトレーニングのひとつになります。つまり、結果を振り返ってみて自分が正解した問題はその選択が最適だったか、最も効率の良い方法で解けていたか、同様に解けなかった問題はその解説を読んで理解するだけでなく高得点を目指すに当たって解く必要があったかも検証してみましょう。場合によっては手を出すべきではない問題かもしれません。
そして、高2の終わり頃になると出題対象が絞られることなく全範囲から出される模試が増えると思いますが一方で学校の授業が追いついていなかったり自分の理解が分野によって極端に未熟であったりすることも多いでしょう。
そのような理由から最高の結果が正直期待できそうにはない時は欲張って全範囲を勉強するよりは思い切って範囲を限定して学習した上で臨む方が良いです。その手段は決して負け惜しみではありません。自分がターゲットにした分野について上のように結果を検証し、残りの問題は落ち着いて学習に役立てれば大丈夫。模試を受ける機会はその後もきっとあるはずですし、そもそもそれらは本番ではないからです。
模試の結果の見方、これは細かく見るという人から全く気にしないという人までさまざまだとは思いますがいくつか注意点があります。
まず、自分の順位や偏差値、志望校の合格力判定は周りの受験生がどのような状態なのか把握した上で評価しましょう。自分と同じ大学を目指す人がどれだけいたのか、その人たちがどれくらい勉強していたかは大きく結果を左右します。筆者の経験から言えば志望校に特化した模試での判定はそうでない模試に比べ厳しいです。
後者であればいろいろなタイプの人が受験している上、上でも触れた通り特にいわゆる「進学校」の生徒でないと時期的に学習が追いついていないことも十分考えられますので注意してください。そして、正答率や講評、これらは問題の解説ではありませんから細かく読み込む必要はないでしょう。
なぜなら一つ一つの問題の得点分布は参考にはなっても、本番で全く同じ問題が出ることはありませんし受験生が全体的に「力学が得意で電磁気が不得意、だから電磁気で得点を稼げると有利」などという単純な話は1回限りの模試については言えるかもしれませんが入試に通用するものではないからです。
何より正答率や分布を見てその原因を徹底的に探ったところでその分析フィルターを本番の入試の最中に当てはめている時間があるでしょうか?緊張でそんな余裕はないかもしれないですしそれをするくらいなら全てのページを見て解けそうな問題から解き始める方がいいに決まっていますよね。
このような行為は自分ではなく問題そのもの、言い方を変えれば出題者の分析であり出題者の色はてきめんに模試の内容に反映されます。例えば志望校特化型模試について東進では奇問が多く、河合塾と駿台では分野ごとの難易度が正反対だった(なぜこのようなことになったのかは不明)なんていうことがあったりもしました。
模試で大事なことは、周囲との競争の中でもあくまで自分自身の得意不得意を抽象的に、しかし正しく知ることなのです。問題集を用いた日常学習との違いは、問題集で得意な分野を知ったところで結局は苦手を克服しなければならないだけで最終的にはどんな問題も等しいウエイトで解くことになるのですが、模試や過去問でいう得意不得意の尺度はどれを解き、どれを捨てるかという判断基準を含むより実用性のあるものだという点です。
これらを踏まえて、自分のキャパシティーに見合う範囲で模擬試験を受けてみてはいかがでしょうか。
過去問と全体の学習計画
いつ過去問を解くか、これも意見の分かれるところです。人によっては自分の志望校を早めに定めて「受験勉強」のスタートを切るためにまずは全科目の過去問を10年分は解け、という意見もありますがあまり過去問を解きすぎると入試の直前に何をすべきか迷子になってしまう恐れがあり筆者はおすすめしません。
過去問は最後までとっておく方が良いので、志望校の出題傾向や対策を知るためには在籍する先輩や周りの先生、あるいはこのような記事を読んで情報を得るのが良いでしょう。それを知るために早い段階で解いてしまうのはもったいないからです。
具体的には物理についていえば高3の春に全範囲を網羅し終え、受ける模試や使う問題集のレベルを徐々に上げつつ筆者が過去問に触れ出したのは12月ごろだったと思います。なるべく物理と化学をセットで解くことを心がけ、どの問題も全く見覚えがないという年は実際の時間制限で取り組みました。
知っている問題を含む年は大問ごとに時間を計って解いたように思います。また、過去問に準ずるものとして河合塾の「オープン模試」、駿台の「実戦模試」の過去問も重宝しました。一冊にまとまっている問題集と違って過去問は入手しようと思えばどこまでも古いものが手に入るため扱いが難しいところですが、本番に向けた訓練という気持ちでやるのは物理の場合せいぜい5年から10年程度で構いません。
それより古いものは単純に問題演習として活用すると良いと思います。訓練ということで制限時間や時間帯、解答方法がポイントになりますが全ての条件をそろえようと神経質になる必要はありません。
特に、全科目を本番と同じスケジュールで解くといったことはどんな受験生にとっても予定との兼ね合いから決して現実的なことではありませんし、問題そのものを身につけることが何より重要ですから本番の条件を整えるといっても無理のない範囲で、しかし貴重な過去問ですので大事に使ってください。
模試のところでも述べましたがどの問題を捨てるかといった観点が過去問演習の場合一層重要となりますので分析には焦らずしっかり時間をかけると良いでしょう。それは模試の過去問についても同じで、決してそれらを「偽物」扱いしすぎるのは良い考えではありません。
物理の全分野をカバーした上で、大学によって出題形式は全く異なりますからそこの入試の中でどの分野が得意か、言い換えれば相性が良いのかを見極めることが大変有効なのです。
まとめ
今回は物理の勉強法についての記事でした。要約すると
- 教科書はどんな参考書よりも精読する。
- 問題集の活用は量より質。間違えた問題の分析が大切。
- 模試で実力を測るのは自分の勉強法と結果の見方次第。
- 過去問演習では制限時間内に最大効果を上げることを意識する。
この4点にまとめられます。現時点で物理が得意な人も苦手な人も冷静さを保って勉強に取り組んでください!
東大理系、2019年の入学で、ポケット予備校では物理を担当しています!この記事がみなさんの参考になることを願っています!