こんにちは!ポケット予備校です!
今回は、今年度から実施される共通テスト化学についてです。文系向けの化学基礎についても、触れたいと思います。
過去問がなく、さらに入試センターが行った試行問題(プレテスト)も2回分しかなく、多くの方は共通テストに対して、不安を覚えていることかと思います。(化学基礎については1年分しかありません)
そこで、今日テストのプレテスト2回分をいセンター試験と比較しながら、配点、問題傾向を中心に分析して、その対策について触れていきたいと思います。
共通テスト化学の傾向
今年度から、実施されるため実際の過去問はありません。そのため、平成29、30年度のプレテストから、その傾向を分析しました。
2020年最後のセンター試験と比較してみましょう。
配点に関しては、100点満点で変化ないようです。
大問 | センター化学2020(分野/配点) | 30年度プレテスト(分野/配点) |
1 | 理論/24 | 理論/26 |
2 | 理論/24 | 無機/20 |
3 | 無機/23 | 有機/20 |
4 | 有機/19 | 理論/19 |
5 | 有機/6 | 有機/15 |
6 | 有機/4(選択問題) | × |
7 | 有機/4(選択問題) | × |
29年度は配点が公開されていませんが、大問1理論、大問2無機、大問3有機、大問4理論、大問5有機で、大問の出題は30年度同じです。
2020年センターでは、理論が5割弱、無機が2割強、有機が3割弱の配点です。30年度プレテストは、理論、無機がセンターに比べ少し減って、有機がその分増えた形になっています。
そのため、センターに比べ、各分野への配点が大きく変わったとは言えません。
問題内容について
次に、問題内容について、見ていきましょう。
29年度プレテストでは、第一問で原子量、熱化学、凝固点降下、第二問で溶解度積、陽イオンの系統分析、無機全般、第三問で元素分析、異性体、エステル、芳香族の置換、第四問で酸化還元、第五問で糖が出題されました。
30年度プレテストでは、第一問で蒸気圧、熱化学、反応速度、同位体、イオン化エネルギー、電気分解、第二問で無機気体の生成、ハロゲン、第三問で炭素数の小さい有機物、芳香族、第四問で電離平衡、第五問で高分子、アミノ酸が出題されました。
大問1、2はランダムでそれぞれ、理論、無機の問題が出題され、大問3は、脂肪族化合物、エステル、大問4では理論の中での大きなテーマ、大問5では高分子が出題されることになりそうです。
問題数は、センターでは、大問5までが必答で、6、7から1つ選択でしたが、プレテストでは、いずれの年も大問5まで全て必答で、大問数は減りましたが、センターに比べ、問題数が少し増加しています。(ただ、プレテストでは、計算問題で、3桁分マークを要求しているところ等があるため、マークする箇所は増えてしまっている箇所もあります。)
また、29年度プレテストは、問題を見ると、センターの問題の出題の仕方とあまり変わりません。大問4で、長い問題文がありますが、それ以外ではセンターと同じです。
30年度プレテストでは、大問1から3が、AとBの二つに分かれていて、29年度のものより、表を読み取ったり、問題文が長いものが多いです。4、5は29年度のものと同じ出題方法です。
そして、一番重要な難易度です。難易度は、センターとそれほど変化ないと言えると思います。ただ、解きにくい問題が多いという印象を受けます。
これは、問題文の増加と、表や実験の手順を読むというセンターにはあまりなかった系統の問題が増えたことで、単純な知識だけで解ける問題が少し減ったことに起因します。
問題数の若干の増加、解きにくい問題の増加によって、センターに比べ、全ての問題を解くのに、多くの時間がかかると思います。
問題を解く際は、時間管理も重要になってくるかもしれません。
上述のように、29年度と30年度で、問題の出題の仕方、問題文の量も変化しているので、一概に言い切ることはできませんが、
共通テストでは、問題数、問題文、読み取り問題が増えることに関しては、1つの方針にあるのではないかと思います。
共通テスト化学の対策
上の傾向で述べたのように、共通テストになったからと言って、難易度、量等でセンターと大きく変化しているというところはありません。
そのため、共通テストの対策とセンター対策で大きく変わることもないのかなと思います。
ここでは、センター対策に沿って、いくつか共通テストの対策になりそうなことをプラスαで書きます。
前提として、共通テスト化学は、国語や社会と違って、二次試験の勉強をしっかり取り組むことができていれば、ある程度高得点が得意できます。しかし、時間の管理、マーク式独特の問題等の練習、また基礎的な知識の徹底の意味を込めて、対策は必要だと考えられます。
対策自体は、1月に入ってからでいいと思います。実際に、プレテストを解きましたが、基礎的な知識以上の暗記を要求はしていませんでしたし、計算問題も、問題文が長くて、読み取るのに少し時間がかかりますが、問題レベルとしては比較的に簡単なものが多いです。
1月に入ってから、センターなら過去問を解きましょうと言うのですが、共通テストに関しては、プレテスト2回分しかありません。そのため、市販の共通テスト予想問題集を購入するしかないです。
実際に、プレテストがどの難易度かを感じていくのは、もちろん必要なので12月中には、プレテスト2回分(さっきも述べましたが、この2回でも、少し傾向が違うので)を解いて、どれくらい対策が必要か理解しておきましょう。
二次試験と違い、共通テスト難易度が少し落ちる分、これくらいは全受験生がやったほうがいいという量はないと考えています。なので、各自でプレテストを解き、距離感を感じておいて、1月の共通テストにかける勉強量を逆算しておく必要があります。
1月は、二次試験のことは忘れて、共通テスト対策に集中しましょう。
共通テスト用問題集ですと、セットになったものと、分野別で多くの問題が掲載されているものの2通りあると思います。
セット演習を何回かするだけでも構いませんが、共通テストは既出の通り、センターより、考察系の共通テスト独特の問題が多いので、この類が苦手だなと思ったりしたら、共通テスト予想問題集を利用するのをオススメします。利用する場合は、分野別の問題集をしてから、セット演習に入りましょう。
共通テストの予想問題集だけでも、いいのですがそれだけでは心配、足りないという方もいると思います。そういう人は、センターの過去問も演習するのも効果的だと思います。センターは共通テストと別物とはいえ、入試センターが作った良問であり、同じマーク式問題という点で、やる価値があると思います。共通テストは少し解きにくい問題が多いということは、言ったと思いますが、そのため、センターの本試だけでなく、追試をやってみるのも効果的だと思います。
追試の問題は、一般に本試より難しいと言われていて、実際難しかったり、解きにくい問題があるので練習になります。
60分で足りないということはないと思いますが、一応時間を測って、センター本試、追試、共通テスト予想問題集の演習を積んでおけばいいかと思います。先ほど述べたように、従来のセンターよりは、問題を解けきるのには、時間がかかると思います。遅くとも、50分でセンターの問題は解いてしまおうくらいの負荷をかけるのはありだと思います。
また、これらの演習に取り組んだ際も、間違えた問題をノートに書き込んでおきましょう。センター化学は何年かに1回同じようなことが聞かれることがあります。共通テストでも、あるかもしれないので確認しておきましょう。
直前には、基礎的な暗記を、自作のノートを参考に復習しましょう。有機、無機は基本的な暗記さえしておけば、対応できると思います。
ここでの、基本の徹底は、二次試験に向けても、必ずや役に立つので、抜かりなく行いましょう。
最後に、共通テスト化学は、センター化学と同じで、ある程度の二次試験用の学力があれば、高得点が期待できるとは思います。しかし、ここで、化学は大丈夫だと気を抜くのだけはないようにしましょう。
化学基礎の傾向と対策
化学基礎は基本的には、文系が受験するものですね。私は理系なので、実際には受験していませんが、センターの過去問と比較しながら、分析しました。
まず、化学がプレテストが2年分あるのに対して、化学基礎は30年度の1年分しかなく、非常に重要です。
大問 | 配点(センター化学2020) | 配点(30年度プレテスト) |
1 | 25 | 20 |
2 | 25 | 15 |
3 | × | 15 |
理系が受験する化学に対して、化学基礎は理論分野のみからの出題なので、分野別の配点の変更等はありません。ただ、大問が3つに増えています。一方、問題数が16から13に減少しています。より、1問への重みが増しています。
元から、化学基礎は、化学の無機や有機のような知識で即答できる問題というよりは、実験手順についての理解や、ある実験についての考察等の問題があったとは思いますが、共通テストでは、考察等の問題が増加しています。
ようは、化学と同様に問題文が長いです。化学より、あからさまに長いので、問題数が減少しているのかなと思います。
難易度としては、化学同様にセンターとほぼ変わらないのかなと思っていますが、問題文量が増えた以上、解くのにかかる時間はあまり変化ないのではないでしょうか。
化学基礎は、普段化学を学習していない文系の方が受けることが多いと思うので、対策は早めに取りましょう。
時期としては、遅くとも12月には始めましょう。それまで、学校等で化学基礎をしっかり学習している人はこのタイミングでも間に合うかと思いますが、全然勉強していない‥という方は、なるべく早く始めましょう。覚えないといけないことは、それほど多くはないかもしれませんが、その分演習を積まなければいけないからです。
勉強法としては、化学と同様に、本腰を入れて、共通テスト対策をする前に、プレテストを一度は解いて、本番との距離感を掴んでおきましょう。それから、参考書や教科書で復習をしながら、共通テスト予想問題集や、センター化学基礎の過去問(追試含む)を利用して、演習を積みましょう。
また、問題を解きながら、間違えたこと、知らなかった知識はノートに書き写して、すぐに確認できるようにまとめておきましょう。
オススメ問題集
共通テスト用のオススメ問題集です。
1 10日間集中 大学入学共通テスト対応問題集ー思考問題編ー総合化学
セット演習ではないですが、共通テストで、分量が増えた考察系の問題を多く演習するには、もってこいかなと思います。
2 大学入学共通テスト 化学 実戦対策問題集
1の参考書が、思考系の問題が多いのに対して、こちらは基本問題(知識の確認等)も含まれています。もちろん、考察系の問題もありますが、基本的な問題の演習もしたいという方は、こちらを利用するのもありです。
3 カテゴリー別 大学入学共通テスト対策問題集 化学基礎
化学基礎用の問題集です。題名通り、カテゴリー別なので、苦手だなと思うところからやったり、自分なりに利用できると思います。
4 2021年用共通テスト実戦模試(9)化学
オリジナル予想問題集が4回分と、プレテスト1回分が載っています。
5 2021年用共通テスト実戦模試(6)化学基礎
オリジナルの予想問題が3回分と、プレテスト1回分が載っています。分野別などで、演習を積んだ後に解いてみるのがいいでしょう。
まとめ
いかがでしょうか。以下、今回の記事のまとめです。
- 各分野(理論、無機、有機)の配点はセンター化学とほぼ同じ
- 問題文量や、読み取り問題の増加、問題数も若干の増加
- 難易度自体はセンター化学と変わらないが、解くにくい問題が散見される
- プレテストを解き、共通テスト化学との距離感を掴み、1月から対策
- 共通テスト用の問題集のみならず、センター化学の過去問も演習に利用する価値あり
- 基本的な知識の暗記の徹底
- 化学基礎は問題数こそ減少しているが、問題文量、読み取り問題の増加のため、全体として簡単になったとは言えない
共通テストだから大丈夫だと気を抜かず、しっかり対策していきましょう!
東大理系、2019年の入学で、ポケット予備校では化学を担当しています!この記事がみなさんの参考になることを願っています!