【東大古文】東大古文の勉強法・過去問の傾向を現役東大生が徹底解説!

皆さんこんにちは、ポケット予備校です!

この記事では、現役東大生が東大古文の勉強法について解説します!

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東大古文の特徴

【参考】東大国語の特徴

東大古文について詳しく見ていく前に、まずは東大の国語の仕組みについて説明しましょう。

そもそも、東大国語の点数・試験時間・大問数は文系か理系かによって異なります。
ここ数年の東大国語の概要をまとめると以下のようになります。

大問内容配点(文系)配点(理系)
現代文(評論)40点40点
古文30点20点
漢文30点20点
現代文(随筆)20点なし
合計120点80点

第一問の現代文(評論文)は文理共通の問題で、文系・理系ともに全く同じ問題です。
第二問・第三問の古文・漢文は、文系・理系共に同じ文章を題材にとっていますが、文系の方が理系に比べて小問の数が多くなっています。
第四問の現代文(随筆文)は、文系のみの出題となります。

東大古文の出題形式

文系国語の古文は、小問5つから構成されています。
(1)では、文中に三箇所傍線が引かれ、現代語訳が求められます。
(2)〜(5)では、各問ごとに文中に傍線が引かれ、その箇所に関する説明または現代語訳が求められます。

理系国語の古文は、小問3つから構成されています。
(1)は文系と共通です。
(2)(3)は、文系の(2)〜(5)から2問同じものが出題されます。

配点は、前述の通り、文系の古文は30点満点、理系の古文は20点満点だと言われています。

東大古典の出典

2011年 『十訓抄』
2012年 『俊頼髄脳』 源俊頼
2013年 『吾妻鏡』
2014年 『世間宗算用』 井原西鶴
2015年 『夜の寝覚』
2016年 『あさぎり』
2017年 『源氏物語』 紫式部
2018年 『太平記』
2019年 『誹諧世説』 闌公
2020年 『春日権現験記』

以上が過去10年分の古文の出典です。
説話集や歴史物語、歌論集など、幅広い出題が見られるのが特徴です。

東大古典で必要とされるもの

東大古文で高得点をとるために必要なものとはなんでしょうか。それはずばり、

  • 古文の最低限の知識(文法、単語など)
  • 設問に対する答え方への慣れ

そもそも僕は、東大古文はそれほど難易度は高くないと思います。
出題形式を見ても、「傍線部を訳せ」(現代語訳)、「傍線部をどういうことか説明せよ」(説明)という二つのいずれかの形が多く標準的です。

ちなみに僕が受験した2019年度の古文は異常なほどの易化でした(一緒に受験した友人は皆口を揃えて「古文簡単過ぎないか?」と言っていました)。もちろん、年度によって難易度は変動しますが、ここ数年を見ると古文は易化傾向にありそうです。

ですから、東大受験生の皆さんは過度に古文対策を行う必要はない、と僕は考えます。
古文単語と古文文法について最低限知識を身に付けたら、あとはひたすら問題演習を行い、古文のオーソドックスな設問に対してどのような答え方をすれば良いか理解してしまいまえば、高得点も十分に狙えてくると思います。

それでは、次の章から実際に東大古文の勉強法を見ていきましょう。

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東大古文の勉強法

古文の特徴

古文は外国語の勉強と同じで、まずは単語や文法といった基礎事項を暗記することから始まります。基礎が固まっていなければ、東大の実戦的な問題も解けるはずがないですよね。基礎が固まったら、それをもとに問題演習を行うという流れになります。ではそれぞれについて詳しく見ていきましょう!

基本事項の暗記(文法)

古文で最初に抑えるべきなのはなんといっても文法です。古文は今の日本語とは大きく異なる、いわば外国語です。その外国語を知るためには、まず文法を理解する必要があるのは明白ですよね。

文法は、古文の読解力をも左右するので、軽視してはいけません。また、センター試験でも直接文法の知識を当問題が毎年一問必ず出題されているので、対策を怠らないようにしましょう。

基本事項の暗記(古文単語)

文法の次に抑えるべきものは古文単語でしょう。基本的には古文単語帳を用いて古文単語を暗記することになります。様々な古文単語帳が発売されているので、自分の性に合ったものを使って頂いて構いません。

ただし、個人的には例文が充実した単語集を勧めます。私は文章の中で単語を理解して単語を暗記していく勉強スタイルだったので…。

基本事項の暗記(敬語)

次に、敬語です。尊敬語、謙譲語、丁寧語にどのようなものがあるかざっと把握しておきましょう。

敬語は、古文の学習における重要論点の一つです。敬語が出現したときに、その敬語が誰から誰への敬意を表したものであるか分からなければ、文章の読みがブレる原因にもなりかねません。逆に敬語をきちんと学習していれば、文章の場面把握にも役立つことが多々あるので、敬語の学習は怠らないようにしましょう。

問題演習(記述編)

文法と単語の理解が終わったら、いよいよ問題演習を行います。

問題を解く際の答え方は、現代文の問題を解く際と同様です。問題文で問われているものは何かをしっかりと把握して答える必要があります。

このステップで使う問題集は、後の「おすすめ参考書」の章で紹介します。

過去問を解く前に 〜プレテスト・センター試験を活用する〜

東大を受験する皆さんは、当然共通テストでも国語を受験する必要がありますから、プレテストとセンター古文の過去問を解くことと思います。

その際に皆さんにぜひ実践してほしい過去問の活用方法があります。それは、

問題の選択肢を見る前に、答えの見当をつける

というものです。

センター試験の古文は、東大と同じように幅広い分野の古文から出典をとっており、単語レベルや文章の難易度も東大と同じくらいのレベルで、「良問」と言えます。

ただ、センター試験はマーク式なので、選択肢に惑わされてなかなか正解できない受験生の方も少なくありません。また、センター古文を選択肢に頼って解いても、なかなか記述式の東大古文の実力を伸ばすことはできないと思います。

センター古文で問題文を見た後に、選択肢を見る前に自分で答えの見当をつけてしまうのです。そうすれば、実際の東大古文で必要な「自分で答えを組み立てる」能力を、センター試験でも身に付けることができます。また、センターの過去問を選択肢に頼らず考える癖をつけておくことで、センター試験の点数も伸ばせると思います。

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過去問演習

実戦的な問題集やセンター過去問で実際の古文の読み方・問題の解き方のコツが掴めるようになったら、いよいよ東大の古文の過去問を解いていきます。

東大国語の過去問は2000年を前後にして傾向が大きく違います。ですから、皆さんはとりあえず2000年以降の過去問について演習すればいいでしょう。また、文系と理系で古文の出典・問題が全く異なる年度もありますが、問題傾向が異なるわけではないので、それほど文理の違いに拘らず両方解くのが良いと思います。

このステップでは、東大古文の設問に対する答え方を理解します。問題を解いたあとは、現代語訳を読んで自分の読解が詰まった箇所を確認するとともに、解答解説を読んで設問に対する自分の答えに抜けている要素を確認し、正確に設問の要求に答える練習をします。

例えば、前述のように東大古文の設問形式は「傍線部を現代語訳せよ」または「傍線部をどういうことか説明せよ」のいずれかであると説明しましたが、特に現代語訳の問題は注意が必要です。古文では往々にして文章の主語が省かれていますが、現代語訳の問題では文章中に主語が書かれていなくても、答えには主語が誰であるかを明示しなければなりません。

このように、設問に対する答え方を意識しながら、過去問を活用しましょう

【発展】古文常識、古文出典

さて、これまでに述べてきた勉強法を実践すれば大きく実力を伸ばすことができると思いますが、古文を勉強する時にはさらなる裏技があります。それが「古文常識」「古文出典」の把握です。それぞれ見ていきましょう。

古文常識

まず、古文常識とは古文の世界における常識・習慣のことです。古文の主な舞台である平安時代と現在とでは、約1000年の時間差があるわけですから、当然平安時代と現在とでは常識も人々の習慣もかなり異なります。このことが理解できていないと、文章の意味がわからなくなったり、文章の読みがぶれてしまったりしてしまうわけです。

例えば、古文の文章の中ではよく「宿世」という言葉が出現します。現在では聴き慣れない言葉ですが、古文常識を一通り抑えている人はその意味がすぐわかります。実は、平安時代には「人の現世の出来事は、その人の前世の行いによって予め生まれる前から決定された、『運命』なのだ」、という考え方があったのです。このような前世からの繋がりのことを「宿世」と呼ぶのです。

このように、古文常識をある程度理解していれば、文章の途中で詰まることも少なくスラスラと文章を読めることが多くお得なので、ぜひ余裕のある皆さんには古文常識を勉強していただきたいです。

古文出典

次に、古文出典の把握とは、入試で頻出の古文作品の内容を予め把握しておいてしまう、ということです。

そもそも、大学入試でよく出る文学作品は限られています。『源氏物語』や『徒然草』、『伊勢物語』などは特に入試で頻出です。

『源氏物語』や『大鏡』、『竹取物語』などの「一続きの物語」や、『更級日記』や『蜻蛉日記』、『土佐日記』などの「日記もの」は、予め登場人物の関係やあらすじなどを理解しておけば、ある程度の予備知識となるので文章を読むのがだいぶ楽になります

特に『源氏物語』は「古文の王道」として名高く、毎年のようにどこかの大学の入試問題で必ず出題される作品ですから、『源氏物語』は時間をかけて全て読んでしまっても決して損ではありません。前述しましたが、『源氏物語』は東大でも2017年に出題されています。

とはいえ、『源氏物語』は全54帖からなる長編物語ですから、「原文で読むのはちょっと…」という方もおられるかもしれません。そんな方におすすめなのが『あさきゆめみし』です。

『あさきゆめみし』は大和和紀先生作の漫画作品です。漫画なので面白く読むことができ、かつ作品内の出来事や人物関係をざっくりと把握することが可能です。実際私も受験期には『あさきゆめみし』を読んで源氏物語の知識を蓄えていましたよ。

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おすすめ参考書

1 読んで見て覚える重要古文単語315

・イラスト付きで、単語を視覚的に覚えられる

各単語にはその単語の意味に関するイラストが一緒に掲載されており、視覚的に単語を暗記することが可能です。

・単語の周辺知識が詳しく掲載されている

古文単語には、ことばが意味と一対一対応しておらず、第二義や第三義が非常に重要な意味である場合があります。また、一つの単語から派生して、様々な言葉が生まれることもよくあります。この単語帳では、古文単語の複数の意味、そして派生語を一緒に掲載しているので、単語を多面的に暗記することが可能となっています。

2 得点奪取 古文

・古文記述問題の解き方の基礎が学べる

この参考書は「典型問題編」と「練習問題編」の二つの章から構成されています。「典型問題編」では問題の問い方別に記述の解答方法を学び、それを「練習問題編」で実際に実践する、という形になっています。ですから、この参考書一冊で記述問題の実力を大きく伸ばすことができます。

文法・古文単語暗記と過去問演習の架け橋として、このような古文問題集を活用し、古文に慣れていきましょう。

3 マドンナ古文常識217

前述したとおり、古文常識を理解することで古文の読解力も向上します。この参考書は古文常識の参考書の決定版で、詳しい解説や豊富なイラストで非常にわかりやすいことが特徴です。

4 東大の古典 27カ年

これまでの総仕上げで過去問を解きましょう。

まとめ

まとめると、東大古文のポイントは次の通りです。

  • 東大古文は難易度・問題形式ともに標準的
  • 文法・単語の基礎をしっかり固めた後に、問題演習に入る
  • 過去問演習では、東大形式の答え方の「型」を理解することを意識する
  • 古文常識や、出題頻度の高い古典作品の背景を知っておくのも有効

これまで述べてきたように、古文の基本はまず文法と単語の理解です。基礎をしっかり固めた後に問題演習を重ねて答え方の勘を掴み、古文常識や古文出典の知識も深めていくことで点数を上げることができます

東大の国語はよく「水物」と言われます。特に現代文は安定しません。僕もある模試では点数が良かったと思えば次の模試では急激に下がった、ということがよくありました。文章との相性によって大きく点数が変動するのが現代文です。

一方、古文は現代文と比べると、点数を安定させることはずっと容易です。古文文法・古文単語さえしっかりと理解できていれば、それが古文の成績をしっかりと下支えしてくれるのです。

ぜひこの記事で紹介された勉強法を実践して、実力を伸ばしていきましょう!

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