皆さんこんにちは。ポケット予備校です。
本日のテーマは2020年度の東大物理の解説です。
どんな問題が出るのか、全体から詳細にわたってイメージをつかんでみてください!
問題はこちらから(東大HPにとびます)
第1問
Ⅰ
(1)アυx イυy ウax エay オay カax
(2)ΔAυ=0から
xay=yax
が容易に導かれる。そこから運動方程式を用いて
max=Fx、may=Fy
と対応させるのがポイント。よって解答は
xFy=yFxとなる。
(3)(2)よりx/y=Fx/Fyであるから、これは
「力Fが原点Oと小球を結ぶ直線と常に平行に働く」
ことを意味する。円周上を運動している小球が各瞬間において進んでいる方向はこの直線と常に垂直だから、力Fがする仕事は0となる。よって力Fが点Aから点B、点Aから点Cにする仕事はどちらも0で等しい。
Ⅱ
(1)2mAυ2/r2(小球の運動エネルギーはmυ2/2)
(2)(1)が誘導であったと考えて、υrを用いて力学的エネルギーを表すと
mυr 2/2+2mAυ2/r2–GmM/rとなる。
この式の最小値についてどこを切り口に考えればよいか一見わかりにくいが、まずはυrとr以外は定数であることに着目したい。しかも1/rの二次式であるから平方完成を目指せる。そこでこの式を変形すると
2mAυ2 (1/r – GM/4 Aυ2)2– G2mM2/8 Aυ2+ mυr 2/2と表される。
これが最小値をとるとき
1/r – GM/4 Aυ2=0、mυr 2/2=0である。
このときr =4 A02/ GM(Aυ= A0だからrは定数)、υr=0だが
これらの等式は同時に成立するため、この条件下で力学的エネルギーの最小値
– G2mM2/8 A02が与えられ、
運動は等速円運動となる。
Ⅲ
(1)万有引力・遠心力のつり合い
GmM/rn=mυ2/rn2
これと条件式から計算して、n2h2/4π2Gm2M
(2)n=1と残りの近似値を代入して、10-61㎏
第2問
Ⅰ
(1)アIBd イ下 ウX エV=V0 オV0/Bd
(2)導体棒にかかる力がIBd、その質量がmだから
加速度はIBd/m
Δs=IBdΔt/m
ΔV=ΔsBd=IB2d2Δt/m
(3)Δtの間に流れる電気量は(2)よりIΔt=mΔs/Bd
これが各瞬間に成立するから、求める電気量つまり総和は
オより
m/Bd・V0/Bd= mV0/B2d2
(4)各瞬間における仕事IBdΔsを足し合わせればよい。
∫0∞sBdIΔt=∫0s0sBd・m/Bd ds=ms02/2
(5)導体棒の運動エネルギーと抵抗で発生するジュール熱で、
ともにQV0/2ずつである。
Ⅱ
カ1/2 キ1 ク1 ケ2
Ⅲ
導体棒1,2のΔtあたりの速度変化は
IBdΔt、2IBdΔtとなり
この比が常に一定だから2つの棒の到達速さはυ、2υとおける。
起電力について
υBd+2υB・2d=V0
よって求める速さは
導体棒1がV0/5Bd、導体棒2が2V0/5Bdとなる。
第3問
Ⅰ
操作①は断熱変化だから、表3−1の内部エネルギーの差をとって
W1=3(1-a2)RTA/2a2
操作②は定圧変化だから、表3−1の圧力×体積の差をとって
W2=(5-4a2)RTA/5a2
操作③は断熱変化だから、表3−1の内部エネルギーの差をとって
W3=6(a2-1)RTA/5
Ⅱ
(1)3R(TE–TD)/2
(2)W4は容器X内の気体にかかる圧力がpAだからpA (VD–VE)と表せる。(VD、VEはそれぞれ状態D、Eにおける気体の体積)
ここで状態方程式を立てると
pAVD=RTD、pAVE=RTEとなるからW4=R(TD–TE)
(3)(状態Dにおける容器X、Y内の気体の内部エネルギーの和)+ W4
=(状態Eにおける容器X、Y内の気体の内部エネルギーの和)
これを解いて、TE =(3TA+5TD)/8
Ⅲ
(1)一連の操作を逆からたどると、ΔUY>0ならば状態EにおいてTA<TEでなければならないからこれが状態Aと比べた容器X内の気体の体積にも対応する。また状態D、Eでは前者の方が大きくなるからこの時点で正しい選択肢は オ に絞られる。
(2)状態D、Eを比べてTA<TDとなる必要があるから表3-1よりa>(ルート5)/2
(3)容器X内の気体も容器Yと物質量、温度変化が等しいから内部エネルギーがΔUYだけ変化したことになるのがポイント。よってΔUY +ΔUY =W+Q2だから、ΔUY =(W+Q2)/2
(4)状態Dにおいて容器X内は必ずTDとなり、容器X、Y間での熱移動が0に近づくためTF =TD=4a2TA/5
まとめ
いかがでしたか。東大の入試と聞くとおそろしく難しいように思えるかもしれませんが、実際には混沌とした計算などではなく問題集で練習を積んでいれば落ち着いて解ける問題がメインで、難しい問題はちょっとした発想や着眼点が解答への鍵になるのがおわかりいただけたでしょうか?
複雑な条件をシンプルに捉える力を養い、決して長くはない制限時間内で得点を稼ぎましょう!

東大理系、2019年の入学で、ポケット予備校では物理を担当しています!この記事がみなさんの参考になることを願っています!