【古文】入試に頻出の古典作品を解説!『源氏物語』編

こんにちは!この記事では、入試に頻出する『源氏物語』について、現役東大生の私が徹底解説します

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古文の基本的な勉強法を確認!

皆さんの中には、様々な古文レベルの方がいると思います。古文を勉強し始めたばかりで古文文法について学んでいる人、古文単語を頑張って暗記している人。ある程度古文に慣れて実際の長文問題を解いている人もいることでしょう。

古文を勉強する際に皆さんに気に留めておいて欲しいと僕が思っていることはただ一つ

基礎を徹底的に固めさえすれば古文はある程度点が取れる

というものです。

僕が過去に書いた記事「【古文】1からでも実力を伸ばせる古文の勉強法を東大生が徹底解説」でも書いたとおりですが、古文を勉強し始めたらまずは「古文文法」「古文単語」「敬語」という古文の基礎を徹底的に固めてください。基礎を理解できたと感じたら、実際の長文問題のような実戦演習に入っていきましょう。

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基礎が固まっていない状態でレベルの高い長文問題を解こうとするのは時間の無駄になってしまう可能性が高いです。逆に、「古文文法」「古文単語」「敬語」について十分な知識を持っていれば、その知識を利用して読解をとてもスムーズに行えるようになることがあります。

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古文出典の重要性

さて、ここまで「古文文法」「古文単語」「敬語」という古文の基礎を固める重要性について述べてきましたが、この他に、古文の実力を伸ばす「裏技」のようなものがあります。それが

古文出典について把握しておく

ことです。

古文出典の把握とは、入試で頻出の古文作品の内容を予め把握しておいてしまう、ということです。

そもそも、大学入試でよく出る文学作品は限られています。『源氏物語』や『徒然草』、『伊勢物語』などは特に入試で頻出です。

源氏物語 ビギナーズ・クラシックス
徒然草
伊勢物語 ビギナーズ・クラシックス

『源氏物語』や『大鏡』、『竹取物語』などの「一続きの物語」や、『更級日記』や『蜻蛉日記』、『土佐日記』などの「日記もの」は、予め登場人物の関係やあらすじなどを理解しておけば、ある程度の予備知識となるので文章を読むのがだいぶ楽になります

例えば、『大鏡』という歴史物語があります。この作品では文徳天皇から御一条天皇までの約170年余りの間の歴史を、藤原道長を中心に据えながら描いていますが、弟の藤原道長と兄の藤原道隆が覇権を争って対立し、天皇に自分の娘を嫁がせるという戦略をともに取っていたこと、『大鏡』の書き手(不詳)が藤原道長に対してやや批判的な立場であることなどの知識を前もって持っていれば、文章読解がとても楽になることがあります。

さて、先ほども述べたように、『源氏物語』『徒然草』『伊勢物語』『大鏡』『竹取物語』『更級日記』『蜻蛉日記』『土佐日記』といった作品は入試頻出ですから、これらの作品の背景的知識や物語のあらすじは一通り押さえてもらいたいのですが、この中でも特に皆さんに理解を深めて欲しい作品が『源氏物語』です。『源氏物語』は、数ある古文作品の中でも特に最重要だからです。

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『源氏物語』の重要性

『源氏物語』は多くの古文作品の中でも特に重要です。この理由について、『源氏物語』のざっくりとした背景についても触れながら説明していきます。

『源氏物語』の成立

そもそも『源氏物語』は平安時代に紫式部によって書かれた長編小説です。

↑紫式部

『源氏物語』の文学史上の功績として、「作り物語」と「歌物語」を統合したことが挙げられます。『源氏物語』成立以前、日本の文学作品には「作り物語」「歌物語」という二つの系統があったのです。

「作り物語」は今でいう普通の「小説」「フィクション」と考えてもらって構いません。皆さんが知っている「作り物語」の例としては「かぐや姫」で有名な『竹取物語』のほか、『宇津保物語』や「継子いじめ」で有名な『落窪物語』が挙げられます。

一方「歌物語」は、和歌を中心に構成された短編の物語集です。「大和物語」「平中物語」が代表的です。

この「作り物語」と「歌物語」が融合して誕生したのが『源氏物語』なのです。実際『源氏物語』は和歌が物語の中心となっている一方完全な虚構(フィクション)かつ長編作品であり、「作り物語」と「歌物語」両方の特徴を兼ね備えています。

『源氏物語』って何がすごいの?

「『源氏物語』って聞いたことはあるけど、結局何がすごいの?」

こんなふうに思われている方もいるかもしれません。

実は『源氏物語』は世界的にも関心が高く、文学的にも高い評価を受けている作品です。『源氏物語』の魅力は、美しい表現でしょう。筆者紫式部は情景描写が巧みで文章も美しく、言葉一つ一つから場面の情景が生き生きと伝わってきます。また、『源氏物語」で描かれる光源氏を中心とした男女間の葛藤、恋の苦しさは、長い年月を経た現在でも多くの人の心を打ちます。

そもそも、『源氏物語』は世界最古の長編小説と呼ばれています。『源氏物語』以前にも世界には「物語文」のようなものはあるにはあったものの、『源氏物語』以上に長編で、人間の心理をありありと伝えるものはなかったと言えるでしょう。このような傑作が、西洋や中国ではなく、日本という辺縁の島国で生まれたことは注目に値することです。

いずれにせよ、『源氏物語』は文学史上非常に重要な作品ということができるでしょう

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大学入学試験での出題頻度は高い

『源氏物語』は大学入試での出題頻度がとても高くなっています

年度主な出題大学
2019上智大学

千葉大学

2018神戸大学

明治大学

2017東京大学

大阪大学

千葉大学

2016早稲田大学(法学部)
2015九州大学
2014大学入試センター試験

関西大学

2013京都大学

立命館大学

上の表は、難関大学での『源氏物語』の過去の出題の一覧です。ご覧のように、毎年のように難関大学で出題が見られます。

これほど難関大学で『源氏物語』の出題が見られるのはいくつか理由が考えられます。

一つは、『源氏物語』は文学的研究が進んでいるということです。先述したように、『源氏物語』は世界最古の長編小説と呼ばれ、世界的に関心が高く、文学的にも高い評価を受けている作品です。そのぶん多くの学者たちによって研究が進められ、解釈の統一も進んでいます。解釈の統一が進んでいるぶん、解答を定めなければならない大学入試の問題としても出題しやすいのでしょう。

また、『源氏物語』は文法・単語ともに基本レベルからやや難度の高いものまでバランスよく揃っており、古文の実力を測る上で効果的であることも出題頻度の高さに関係しているようです。

『源氏物語』の予備知識を知っておくとお得!

『源氏物語』についてあらすじなどの予備知識を持っておくと、色々と得なことがあります。

一つは先述したように、『源氏物語』の文章が入試で出題されたときに読解を素早く正確に行うことができます。

また、『源氏物語』を読むことによって、「古文常識」について深く知れることも『源氏物語』の特徴です。

古文常識とは古文の世界における常識・習慣のことです。古文の主な舞台である平安時代と現在とでは、約1000年の時間差があるわけですから、当然平安時代と現在とでは常識も人々の習慣もかなり異なります。このことが理解できていないと、文章の意味がわからなくなったり、文章の読みがぶれてしまったりしてしまうわけです。

『源氏物語』は平安時代の代表的な古文作品で、平安時代の貴族たちがどのような暮らしをしていたか、どんなことを信じてどのような習慣の中で生きていたのかをありありと伝えてくれます。『源氏物語』を通して平安時代の社会や文化、生活のあり方が想像できるようになれば、『源氏物語』以外の古文文章が出題されてもその物語での舞台や状況をはっきりと想像できるようになるでしょう。

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『源氏物語』のあらすじを知ろう

『源氏物語』のあらすじを知るには漫画が最適!

↑源氏物語のワンシーン(イラスト化)

さて、これまでの章では『源氏物語』が文学史上とても重要であること、『源氏物語』が大学入試で頻出であること、『源氏物語』について予備知識を持っておくことが非常に重要であることを述べてきました。

こうなると、『源氏物語』について一通りあらすじを知っておくことが非常に有利ということになります。

しかし、『源氏物語』は54帖にもわたる超大作です。原文(古文)で読むのはもちろんのこと、現代語訳されたものを読むのも大変な作業となってしまいます。もちろん時間と意欲のある方が取り組むのは構いませんが、多くの受験生にとってそこまでの労力と時間を『源氏物語』に割く時間はない、というのが現実でしょう。

そこで私がおすすめしたいのは

漫画『あさきゆめみし』を読んで『源氏物語』のあらすじを把握してしまう

ことです。

源氏物語 あさきゆめみし

漫画『あさきゆめみし』は大和和紀による作品で、『源氏物語』を漫画化したものです。私も受験期にこれを読んで『源氏物語』のあらすじを確認していました。

「漫画なんか読んでて大丈夫なの?」と思われる方もおられるかもしれません。しかし『あさきゆめみし』は、原作『源氏物語』に忠実に構成された漫画として定評がありますから、『あさきゆめみし』を読めばある程度『源氏物語』の内容を把握することができます。

そもそも、「漫画」は学習のツールとして有効な場合があると私は考えています。例えば、私は世界史の勉強をし始めるときに、まずはじめに世界史の学習参考書漫画(全20巻前後にわたる)を読み、世界史の全体の流れをざっくりと理解してから、教科書などを使ったより詳細な通史学習を行なっていました。漫画は活字の羅列とは違って視覚的に見やすく、最初期の学習時やざっくりとでいいから理解したい時などには大いに役に立ちます。

漫画を通して視覚的に『源氏物語』がどのような作品かを知っておくことで、いざ入試問題に『源氏物語』が出題されたときも、速やかにその場面のイメージを思い浮かべ再現することができるようになります。

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『源氏物語』に登場する主な登場人物

さて、『源氏物語』の詳しいあらすじは漫画『あさきゆめみし』を読んでいただくとして、最後に『源氏物語』の主な重要人物を何人かあげることにしましょう。

光源氏

『源氏物語』の主人公。元は桐壺帝という天皇の第二皇子でしたが、いろいろあって臣籍降下(皇族の身分ではなく臣下の立場になること)されました。

この男は超絶美男子で、藤壺という女性に初めて恋をした後、その面影を求めて様々な女性に手を出していくことになります。

そう、『源氏物語』はとてもざっくりといえば「光源氏の様々な女性との恋模様の記録」なのです。

頭中将

光源氏の親友でもあると同時に恋のライバルでもあります。

桐壺帝

光源氏の父。

藤壺

桐壺帝の後妻であり、光源氏にとっては初恋の人です。光源氏は、自分の父親の妻であるにもかかわらず藤壺と一線を超えた関係を持ってしまい、二人の間には子が生まれることになります(世間では桐壺帝と藤壺との間の子とされる。後の冷泉帝)。

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葵の上

光源氏の正妻。しかし光源氏の恋人の一人である六条御息所の生き霊に殺されてしまう。

夕霧

光源氏と葵の上との間にできた子。

紫の上

多くの恋人・側室のなかでとりわけ光源氏が愛した女。事実上の正妻。

明石の君

光源氏が京での政争に敗れ明石に退いていたときにできた恋人。

明石の姫君

光源氏と明石の君との間にできた子。明石の君が産んだ子だったが、いろいろあって紫の上に長期間育てられる。

女三宮

朱雀院の第三皇女。光源氏に正妻として嫁ぐが、頭中将の息子・柏木と逢瀬を重ねた結果、柏木との子・薫を産んでしまう。

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まとめ

いかがだったでしょうか。これまで述べた内容のポイントは以下の通り。

  • 古文の基礎はあくまで「古文文法」「古文単語」「敬語」を固めること
  • 古文出典の把握も重要
  • 『源氏物語』は文学史上重要
  • 『源氏物語』は大学入試で超頻出
  • 『源氏物語』のあらすじ把握には漫画『あさきゆめみし』がおすすめ

この記事を参考にして、古文の実力を伸ばしましょう!

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